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経験伝え命救いたい 新地駅列車脱線・転覆(下) 郡山署 斎藤圭さん 31 郡山

交通事故捜査などを通じて県民の安心を守る斎藤さん

■「5分遅かったら...」
 新地町のJR常磐線新地駅で強い揺れを感じ、乗客約40人の避難誘導を決断した相馬署の斎藤圭、吉村邦仁の両巡査は全員を列車から降ろした。約30分をかけて全員を無事に新地町役場に避難させた。その時、濁流は目の前の駐車場に達していた。
 「5分遅かったら津波にのまれていた」
【平成23年6月1日付・19面】

 郡山署交通二課に勤務し、交通事故の検証やひき逃げ事件の捜査などを担当する傍ら、体験談を伝えている。仕事は忙しい。通報が入ると現場に急行して検分や交通整理に当たる。多い日は1日に20件以上臨場する。まともに昼食を取る時間がない日もある。どんなに忙しくても事故を起こした当事者に丁寧に原因を伝えることを心掛けている。より重大な事故を起こさないよう教訓にしてほしいからだ。

■「備えがあったからこそ」

 郡山署管内の交通量は県内有数。被災地に向かう復興関係の車両や県外の車も多い。交通事故を減らし、安全な交通を確保する。間接的だが、復興を支えているとの思いで臨んでいる。
 これまでに福島と山形の警察学校や郡山市の仮設住宅、山形市の中学校などで体験談を話した。日頃からの災害への備えと命の大切さを訴えた。どんな訓練でも本気で取り組むことの大切さも説いた。警察学校で災害に備えた訓練をこなしていたから多くの乗客の命を守れた。もし、あの時に判断が遅れていれば津波にのみ込まれていただろう。

■「生き残った者の使命」

 行方不明者の捜索で多くの深い悲しみに接した。生きていることに感謝し、一日一日を大事にしてほしいと呼び掛けている。経験を伝えるのは生き残った者の使命。多くの人に自分の話を聞いてもらいたい。時間の経過で大切な人や古里を失った悲しみは薄らいでいくかもしれないが、災害はいつまた起きるか分からない。自分の経験談が教訓として生かされ、一人でも多くの命が助かればと願う。
 安心して暮らせる環境を保つように努め、復興を後押しする。住民に信頼され、心のよりどころとなるような警察官でありたい。あの日の経験が背中を押している。
 これからも福島のために生きていく。

カテゴリー:「3.11」それぞれの5年

活動がたたえられ警察庁長官表彰を受けた。松本光弘県警本部長(当時)に受賞を報告する斎藤さん(左)と吉村さん【平成23年6月1日付・19面】

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