東日本大震災アーカイブ

【震災から5年】「文化」 文化財保護 搬出進む 富岡、双葉、大熊「町の宝」県施設へ

富岡、双葉、大熊の各町から運び出した文化財が並ぶまほろんの仮保管施設

 土器、古文書、民具、農具...。白河市の県文化財センター白河館「まほろん」の仮保管施設には、原発事故の旧警戒区域から運び出した歴史民俗資料が保管されている。
 
 富岡、双葉両町の歴史民俗資料館と大熊町民俗伝承館が収蔵していた品々で、県教委や県立博物館などでつくる県被災文化財等救援本部が平成24年度から収集してきた。各資料館から合わせて2874箱(全体の97・9%)が集まり、相馬市の旧相馬女子高で仮置きされた後、まほろんに順次移している。
 
 現在、同校にはまだ400から500箱残っているが、今年度内には搬入作業を終える予定だという。
 
 まほろんの仮保管施設は空調設備が整い、資料は棚などに収納されている。施設の年間維持費は電気代など約200万円で、国が半額を補助している。
 
 まほろんは資料を定期的に公開しており、県教育庁文化財課は「地域の歴史を伝える資料は、それぞれの地域で活用すべき。返すことができるようになるまで大切に保管していきたい」としている。
 
 ■民間の資料 保全課題に
 
 県被災文化財等救援本部の手が回りにくい民間の歴史資料の保全が課題になっている。
 救援本部が運び出しを行っているのは、公的な施設が中心。民間の資料はボランティア組織である「ふくしま歴史資料保存ネットワーク」が収集に当たっている。これまでに中通り北部を中心に約40件の古文書などを集めた。事務局の福島大に保管しながら、クリーニングと記録、目録作成を進めている。
 
 ただ、同大の学生の協力がなければ継続は難しく、活動資金も十分とはいえないのが実情だ。阿部浩一代表(福島大教授)は「多くの人に歴史や文化に関心を持っていただき、資料を守ること自体を一つの文化として定着させるのが肝心」と訴えている。

 ■指定文化財 9割復旧終える
 
 震災で破損するなどした国指定、県指定、国登録有形の各文化財は148件に上る。平成27年末現在、復旧対象となった97件の9割に当たる90件の復旧を終えた。
 30年度までに復旧の見通しが立っているのは7件、被害が軽く修復作業を見送るか経過観察となったのは29件、被害が大きく登録抹消となったのは6件、対応検討中は16件となっている。
 28年度は地震で転倒した県重要文化財「木造薬師如来坐像(付台座)・木造菩薩立像」(川俣町)、29年度は御茶屋御殿の壁に亀裂が入った国名勝「会津松平氏庭園」(会津若松市)などの修復が終わる予定。
 30年度は震災で傾きが拡大した国重要文化財「専称寺本堂」(いわき市)、石垣が崩れたが昨年4月から一般公開を再開した国史跡「小峰城跡」(白河市)の修復が完了する予定となっている。

カテゴリー:震災から5年