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魅力と歴史 伝えたい ツーリズムガイド白河顧問 渡部武さん 80 白河

修復工事が完了した小峰城の石垣を見つめる渡部さん


■誇り、生きがい奪われた
 国史跡小峰城の大きく崩れた石垣を見た時は涙が出そうになった。ガイド活動はできなくなるかもしれない。観光イベントは軒並み中止。東京電力福島第一原発事故の風評被害でガイド予約のキャンセルも相次ぐ。
 震災と原発事故に誇りと生きがいを奪われた。
【平成23年6月10日付・ふくしまは負けない】

 会長を退き、昨年4月から顧問になった。今も現役だ。86歳で続けている人もいる。自分も頑張る。
 ガイドを始めて15年になる。修復工事が進む小峰城をはじめ南湖公園、白河の関跡など知れば知るほど魅力的な白河の街と歴史をこれからも伝えていく。

■「支援に胸が熱くなる」

 震災直後は全国からの支援に助けられた。白河市と姉妹都市となっている埼玉県行田市や白河藩主だった松平定信公とのつながりでゆかりが深い三重県桑名市などから多くの人が足を運んでくれた。みんなが白河を活気づけたい-との思いで訪れてくれた。涙が出るほど感激した。
 震災と原発事故で落ち込んだ観光客数は回復し始めている。現場で実感する。昨年4月に小峰城の三重櫓(やぐら)の公開が再開された。これが強力な追い風となった。桜の季節はきっと大勢の花見客でにぎわうだろう。4月から5月の大型連休までガイドは予約でいっぱいだ。大勢の人と会えると思うと年がいもなくわくわくする。

■「5年の歳月」

 原発事故の影響を気にする観光客は少なくなったようだ。純粋に観光を楽しんでいる。こちらが気にし過ぎなのか...と思うこともある。
 ただ、街のシンボルが震災で大きく傷ついたことは事実として伝えなければならないと思っている。原発事故後の混乱もそうだ。ありのままに伝えることで被災地の歩みを思い出とともに頭の片隅に置いてもらいたい。
 4月からアフターデスティネーションキャンペーン(DC)が始まる。昨年のふくしまDCで生まれた盛り上がりを定着させる絶好の機会だ。秋には白河文化交流館「コミネス」が開館する。古里の魅力を発信する環境は整いつつある。ガイドが楽しくなければ、お客さんも楽しく感じないはずだ。充実した毎日にしたい。今年はいつも以上に春の訪れが待ち遠しい。

カテゴリー:「3.11」それぞれの5年

崩れた石垣を前に険しい表情を見せる渡部さん【平成23年6月10日付・ふくしまは負けない】

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