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制度に揺れる(1) 公営住宅に入れず 楢葉の原発避難 対象外

 「この先、住まいはどうなるのか」。楢葉町から会津美里町に避難している40代の母親は不安が消えない。
 楢葉町に出されていた避難指示は昨年9月に解除されたが、会津美里町の仮設住宅では今なお約150人が避難生活を送る。高齢者中心だが、小中学校に通う子どもを持つ家族も少なくない。この母親は、子どもが学校を卒業するまで会津で暮らそうと決めている。
 ただ、仮設住宅の暮らしは不便が多い。会津若松市内には大熊、双葉両町民向けの県営の災害公営住宅が整備された。ある時、部屋が空いていると聞き、「自分たちも入ることができないか」と楢葉町の担当者に相談した。帰ってきた答えは「楢葉町民は制度上利用できない」だった。

 災害公営住宅は福島復興再生特措法などで、東京電力福島第一原発事故に伴う長期避難者だけが利用できる仕組みだ。県の整備計画の大枠が固まった平成25年6月当時、楢葉町の多くが避難指示解除準備区域だった。県と復興庁は「比較的短期で帰還できる見通しがある」と判断。町民を長期避難者の対象としなかった。
 町は避難指示の解除に先立つ昨年3月、いわき市内などの災害公営住宅に町民が入居できるよう緩和措置を復興庁に要望したが返事はない。復興庁の担当者は「県とも協議したが、公営住宅の完成前に避難指示が解除されれば法律との整合性がつかない、との結論だった」と説明する。
 避難指示解除後に町に帰還した住民は2月末時点で全人口7381人のうち459人で約6%にとどまる。町役場には今も「災害公営住宅に入りたい」との要望があるという。

 一方、楢葉町内の3カ所で災害公営住宅計141の整備が進む。津波・地震で住宅が全壊または大規模半壊し、家屋を解体した住民らが入居対象で、原子力災害の被災者は対象にならない。会津美里町に避難する男性(79)は「同じ仮設住宅に暮らしながら、一方だけ災害公営住宅に入れるのは釈然としない」と納得がいかない様子だ。
 住まいをめぐり、町民は仮設住宅の入居期限が29年3月で切れることを懸念する。アパートに移り住むと新たな出費となる。古里の避難指示がすでに解除されている中で、仮設住宅に住み続けられるのか。先行きは見通せない。

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