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(27)東和と世界を結ぶ

作業場でイチゴ大福作りに励む菅野(右)

 二本松市東和地域の農業法人「きぼうのたねカンパニー」代表を務める菅野(すげの)瑞穂(28)は農産物の生産にとどまらず、食品加工も手掛けている。
 自宅隣にある作業場で有機栽培のイチゴを使った大福作りに精を出す。冬から春にかけての限定商品で、自家製の餅やおこわ、赤飯とともに地元の道の駅「ふくしま東和」の店頭に並ぶ。通信販売も続けているが、手作りの味が好評を呼び購入する人が増えている。新たな「東和名物」として定着しつつあるという。

 農業を通じて都会と古里を結ぶ-。きぼうのたねカンパニーを設立した際の目標にまい進している。
 日本女子体育大時代、セパタクローの日本代表選手として活躍した経験が生きた。全国のクラブチームなどが参加する全国大会を有志とともに企画し、平成25年から東和地域などで毎年開いている。全国から集まる選手は菅野の田んぼで稲刈りを体験し、地元の農家などに宿泊する。「福島の人にセパタクローの楽しさを知ってもらう。一方、全国の選手に東和、そして福島の現状を正しく理解してもらう機会になっている」と説明する。風評払拭(ふっしょく)に向けた取り組みが続く。

 東和地域は養蚕で栄えた。昭和30年代半ばから50年代初めにかけて、最も多かった時期で約800ヘクタールの桑畑があり、年間約585トンの繭が採れた。しかし、安価な外国産の絹製品に押されて古里の一大産業は衰退し、耕作放棄地が目立つようになった。
 こうした地域で菅野は踏ん張り、農業の明日を開こうと土と向き合う。地域おこしに取り組むNPOゆうきの里東和ふるさとづくり協議会理事長の武藤一夫(いちお)(64)は「地道に野菜やコメの無農薬栽培に取り組む姿は後輩の手本となる」と評価している。
 菅野は3月、福島市のNPO法人の依頼でニューデリーなどインドの3都市で講演した。厳格な放射性物質検査をクリアした県産農産物だけが流通していると説明した。「福島の農家の姿を世界中に知ってもらいたい。それが若い自分の使命と感じる」と目を輝かせた。(文中敬称略)

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