東京電力福島第一原発事故に伴い全村避難している葛尾村の帰還に向けた住民説明会は10日、田村市船引町の迎賓館辰巳屋で開かれた。政府の原子力災害現地対策本部は帰還困難区域を除いた全地域について6月12日に避難指示を解除したい方針を住民側に正式に示した。住民からは「除染が不十分だ」「なぜ(居住制限区域と避難指示解除準備区域が)同時に解除になるのか」などの意見が出た。
説明会は午前、午後の計2回開かれ、約300人が出席した。冒頭、松本允秀村長が帰還に向けて住民に理解を求めた。出席者からは「解除前に医療機関の整備が先だ」とする意見や、放射性物質に対する不安から「本当に住んで安全なのか」など解除方針について先延ばしを求める声が上がった。一方、「解除時期が示されたのは望ましい。復興支援を継続してほしい」と前向きに捉える意見も出た。
対策本部の後藤収副本部長は説明会後、報道陣の取材に対し、「村議会や住民の意見などを総合的に勘案して村と協議したい」と話した。居住制限、避難指示解除準備の両区域については「同時に解除する方針に変わりはない」とした。
松本村長は「議会や住民の意見を踏まえながら解除時期を判断したい。私個人としては6月12日という日程で進めていきたい」と述べた。
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