東日本大震災

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南海老の絆 継承 南相馬集団移転先に公会堂

公会堂に収めた神楽と手踊りの道具を前に思いを語る幾世橋さん

 南相馬市鹿島区にあり、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた南海老行政区は隣接した集団移転先に地名を冠した「南海老公会堂」を新設した。17日に落成祝賀会を開く。地域の絆を保ち、県内外の移住先から訪れる住民を温かく迎える拠点とする。来年は12年に一度行われる神社の祭礼が控えており、晴れ舞台で披露する伝統芸能を磨き継承する場所ともなる。

■地名を冠し新設 交流、伝統文化保存に活用

 南海老行政区は震災前、69戸があり約170人が暮らしていた。津波で23人が犠牲になり、旧南海老公会堂をはじめ家屋のほとんどが流された。流失を免れた7戸の住民は元の場所で生活を続けているが、27戸は市の防災集団移転事業などで平成26年夏ごろから順次、北海老に住まいを移した。
 北海老行政区と合併すべきか-。住民は議論を交わしたが、なじみ深い南海老行政区を存続させる道を選んだ。災禍に見舞われる前の温かな人と人のつながり、地域の一体感を取り戻したいと誰もが願った。区長の幾世橋(きよはし)初男さん(67)は「やっぱり、南海老でやっていこう。名前と歴史をつなごうという気持ちだった」と振り返る。
 新たに建設された公会堂は敷地面積約600平方メートル、平屋で延べ床面積は約80平方メートル。総工費は1500万円で、住民から集めた300万円と市の補助金1200万円で賄った。集会スペースや台所などを備え、週に2回程度、お茶を飲みながら近況を語り合う「サロン」を開く。移転先で孤立することがないよう、互いに参加を呼び掛ける。
 公会堂は伝統文化を未来につなぐ拠点ともなる。酉(とり)年にのみ北海老の鶏足(けいそく)神社で行われる祭礼「お浜下り」の際、奉納される南海老の郷土芸能「大蛇(おろち)神楽」の神楽や子ども手踊りの道具を保管する場所を設けた。集会スペースで練習を重ね、来年に迫った祭りに備える。「地域を離れていった人にも参加してもらい、古里の伝統を継承していきたい。公会堂はその中心になる」と幾世橋さんは期待を込める。
 再出発する南海老の住民を、北海老の住民は快く受け入れている。北海老行政区長の岡本昇さん(66)は「昔から仲良くやってきた。今まで以上に関係を密にしていきたい」と話している。

■17日に落成祝賀会

 南海老公会堂の落成祝賀会は17日午前11時から現地で行われる。サクラを植樹するほか、子どもたちが未来に向けたメッセージを披露する。

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