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(36)取り組み一層拡大

会津伝統野菜を次代につなぎたい。種を手に笑顔を見せる生徒たち

 「ぼくたちの作った会津小菊かぼちゃ、余蒔(よまき)きゅうりです。ぜひ味わってください」
 会津坂下町の会津農林高農業園芸科野菜専攻班の生徒は町内外のイベントなどに積極的に参加し、会津伝統野菜の魅力を広く発信している。
 会津若松市のリオン・ドール会津アピオ店で昨年7月、余蒔きゅうりの漬物や炒め物などを試食品として買い物客に配った。地元に古くから伝わる野菜の存在を伝えようと、味の濃さや皮の柔らかさといった特徴を丁寧に説明した。11月には会津坂下町の立川ごんぼフェスティバルに出店し、香りが強い立川ゴボウなどを来場者にPRした。
 地元の子どもたちに会津伝統野菜を知ってもらう機会も設けている。毎年5月、児童とともに会津小菊かぼちゃの苗を町内の畑に植える。8月に収穫し、一緒に給食で味わう。
 生徒たちの活動は全国的に評価されている。昨年、青少年のボランティア活動をたたえる「第19回ボランティア・スピリット賞」(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命など主催)の全国表彰を受けた。

 取り組みはさらに広がっている。昨年、インターネットで会津小菊かぼちゃ、立川ゴボウなどの詰め合わせをインターネットで販売したところ、2日間で11セットが完売した。「おいしかった」という手紙とともに、わざわざ種を洗い送り返してくれた購入者もいたという。
 校内の実習用ビニールハウス内にある冷蔵庫には会津小菊かぼちゃ、余蒔きゅうり、立川ゴボウ、荒久田茎立(あらくだくきたち)など10種類ほどの種が詰まった瓶がびっしりと並ぶ。生徒たちの活動を知った農家が提供してくれた。大切に保管し毎年、栽培していく。
 農業園芸科3年の斎藤未来(17)は「地元に古くから伝わる野菜の栽培を通じ、たくさんの人との交流が生まれた。学校生活は充実している」と目を輝かせる。

 野菜専攻班に所属し今春巣立った9人のうち5人は農業関係の大学・短大などに進学した。将来は地元に戻り、地域の担い手農家として活躍したいと願う卒業生もいるという。
 会津伝統野菜の栽培を指導する教諭の江川篤(38)は「農業の後継者不足が続く中、生き生きと土に向き合う生徒たちは明るい希望だ」と頼もしく感じている。(文中敬称略)=第二部終わり=

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