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いいたて福祉会に原発事故後初の新卒職員 若い力「復興支える」

園児の日々の成長をうれしく感じるという菅野さん

 東京電力福島第一原発事故による避難で職員が半減した飯舘村の社会福祉法人いいたて福祉会に今春、原発事故後初めて新卒の新入職員2人が加わり、貴重な人材として活躍している。保育士の菅野真紀さん(20)=飯舘村出身=と介護員の高野拓巳さん(20)=川俣町出身=で幼児や高齢者と接したこの1カ月が、村の復興に貢献する決意を一層強くした。

■保育士の菅野真紀さん20 子どもに愛情を
 菅野さんは村内の飯樋地区から川俣町に移転した「やまゆり保育所」で2歳児3人を受け持つ。「心優しい村民との関わりを持ち続けたい」と村内での就職を志した。
 飯舘中を卒業した日に東日本大震災が起きた。草野地区の自宅から家族8人で福島市の借り上げアパートに移ったが、古里の行く末が常に気掛かりだった。
 相馬農高飯舘校から保育士を目指し福島学院大短期大学部に進んだ。昨年夏にやまゆり保育所で実習した際、家庭的な雰囲気に好感を持った。
 園児が新しいことを覚えるとうれしくなる。「言葉の掛け方はまだ不慣れだが、子どもに愛情をたっぷり注ぎたい」。幼稚園の時に優しく面倒を見てくれた先生が憧れの姿だ。

■介護員の高野拓巳さん20 入所者を大切に
 高野さんは原発事故後も居住制限区域の村内伊丹沢地区で運営を続ける特別養護老人ホーム「いいたてホーム」に勤務している。
 福祉の仕事に興味があり、川俣高在学中からボランティアに励んだ。二本松市の福島介護福祉専門学校に進み、実習先の一つに避難区域に残った「いいたてホーム」を選んだ。
 訪れてみると、職員や入所者の生き生きとした表情が印象的だった。「ここにいる人たちの力になろう」。地元の川俣町を含めさまざまな選択肢がある中、復興に挑む村民のために働く道を選んだ。
 丁寧な対応や声掛けで、入所者から親しまれている。「初心を忘れず、一人一人の生活や性格を大切にしたい」と誓っている。

■相次ぐ避難で職員数は半減 関係者就業希望増願う
 いいたて福祉会の職員は震災当時、介護、保育職など計130人いたが、相次ぐ避難で現在は59人に減った。求人をしても避難区域での勤務を敬遠する人が多く、人材がなかなか集まらなかった。
 職員減少に伴い、やまゆり保育所の園児は震災当時は50人以上いたが、現在は7人。保育士も17人から6人に減った。いいたてホームの入所者も震災当時の112人から38人に減少。デイサービスや訪問介護を停止している。
 いいたてホームの三瓶政美施設長(67)は「村の福祉と保育を将来につなぐため、次に続く人が出てきてほしい」と期待している。菅野典雄村長は「原発事故後に村を離れる若者が多い中、地元で働こうという姿勢は心強い。職場環境の整備や待遇改善に力を入れたい」としている。

カテゴリー:福島第一原発事故

笑顔で入所者と接するよう心掛けている高野さん

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