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未来の古里へ再生誓う 農業生産法人社長 平子佳広さん 63 いわき市

加工施設で製品を並べる平子さん

■「将来は遠野で一貫生産」
 いわき市遠野町の農業生産法人「いわき遠野らぱん」は震災、原発事故後の地域農業の復興に向けて地元に自生する山ブドウとフランス産ブドウを交配させた品種でオリジナル赤ワインを開発し発売した。今春、育った苗を交配先の山梨県から遠野町に移す予定だったが、風評を懸念して思いとどめた。平子佳広社長は「将来は遠野で一貫生産したい」と思いを語った。【平成23年12月22日付・ふくしまは負けない】

 「いわき遠野らぱん」が手掛けるオリジナルワインの原料のブドウは風評の影響もあり、今も山梨県内で栽培している。ワイン造りは地域農業の復興を目指して始めた。いずれ苗を遠野町に移して栽培から製造、販売までを遠野でやりたい気持ちは変わらない。風評の解消には食に携わる者が情熱を持ち続けることが大切だ。

■「今までにない物を」

 魅力的で品質の良い商品に風評は関係ない。これが持論だ。
 昨年2月に地元に食品加工施設「ドメーヌ・ド・ラパン」を整備し、稼働させた。製品の一つが地場産の無農薬野菜を原料にエキスを加工したスープ。野菜の栄養分を吸収しやすくした点が特長だ。被災地ならではの着眼点を生かした商品開発にも力を入れている。災害用備蓄食品もその一つ。ご飯が付いたカレーやアレルギーがある人でも食べられるレトルト食品をそろえた。ともに関東地方のデパートなどとの取引が始まっており、売り上げも順調だ。

■「復興に若い力を」

 復興には長い時間と我慢を要する。自分たちの世代では完全な復興は成し遂げられないだろう。次代を担う若い人たちの郷土愛が復興を支える原動力になる。そうした思いから人づくりに一層力を入れるようになった。
 毎年秋に開いている地域活性化イベント「満月祭」も一例だ。震災後は遠野高の生徒と力を合わせて開催している。高校生が異口同音に「地域のために」と瞳を輝かせて準備や運営に当たる姿に胸が熱くなる。
 未来の大人のために今の大人たちが精いっぱい汗を流さなければならない。そう思っている。

カテゴリー:「3.11」それぞれの5年

完成したワインを手にする平子社長

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