政府の原子力災害現地対策本部が13日、東京電力福島第一原発事故に伴う南相馬市の避難指示解除準備、居住制限両区域を早ければ7月1日に解除する方針を明らかにしたことを受け、住民からは容認する声と「時期尚早」とする意見が上がった。
市内の原町生涯学習センターで同日開かれた区長説明会に参加した小高区飯崎行政区の一條登区長(67)は「復興を進めるためには(7月の)解除が妥当だろう。準備宿泊をしている人からは早期の解除を求める声が多い」と指摘した。一方、生活基盤整備の状況を不安視する声も。同区小屋木行政区の伊賀敬益区長(68)は「商店は何カ所か再開しているが点在している。大型商業施設がなければ帰還した人の生活が成り立たない」と注文をつけた。
小高区浦尻から原町区の仮設住宅に避難している軍司昇さん(70)は、解除時期の方針を聞き、「学校が再開する前に解除するのは時期尚早ではないか」と疑問を投げ掛けた。市は学校再開を来年4月以降としている。「子どもたちの声が聞こえないうちは本当の復興とは言えない」と語った。
■解除後も支援継続 原子力災害現地対策本部 全員協で示す
避難指示解除の方針を伝えた13日の南相馬市議会全員協議会で、原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長は「解除はゴールでなくスタート」とし、解除後も政府としての支援を継続する考えを示した。
議員からは「(15日から始まる)市民説明会で住民の声を十分にくむことが必要だ」などと意見が出た。後藤氏は「市民の意見を踏まえた上で最終的に判断する」と述べた。
全員協議会では宅地除染の完了が改めて報告されたが、議員からは再除染や農地、山林などの除染も早急に進めるよう求める声が上がった。
(カテゴリー:福島第一原発事故)