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川俣・山木屋地区、来年3月末避難解除 政府方針 地元意向受け入れ

中井学長に要望書を手渡す古川町長(右から2人目)。右は斎藤議長、左は広野会長

 政府の原子力災害現地対策本部は10日、東京電力福島第一原発事故で川俣町山木屋地区に設定した居住制限、避難指示解除準備両区域の避難指示を平成29年3月31日に解除する方針を示した。町、町議会の要望に沿った形で、政府は住民帰還に向けた課題について地元と協議を重ね、住民懇談会を経て正式決定する。
 町中央公民館での町議会全員協議会で後藤収副本部長が方針を説明し、解除に向けた要望に対する回答書を古川道郎町長、斎藤博美町議会議長に手渡した。後藤副本部長は解除時期の根拠を「29年3月末にはさらなる生活環境の改善のめどが立ち、町が求める除染の徹底、豪雨災害の復旧、なりわいの確保も対策が進む」と示した。
 全員協議会では議会から一部の要望事項への回答が不十分との指摘があり、解除時期の正式決定の前提となる住民懇談会の開催について議論が深まらなかった。政府は早期に再回答を準備し、地元の理解を求める。
 古川町長は「あくまで解除はスタート。解除後の生活に影響がないように国と一緒に対策を立てる」と話した。
 山木屋地区の避難区域別の世帯数と人口は【下記】の通り。10日現在、居住制限、避難指示解除準備両区域を合わせて552世帯、1171人が避難している。昨年8月から実施している準備宿泊の登録者は42世帯、116人に上る。
 山木屋地区の避難指示を巡っては、町が5月に「8月末ごろ」の解除目標を示したが、住民や議会の反発を受けて撤回。町、町議会、山木屋行政区長会が今月1日、帰還する住民の支援策を講じた上で来年3月末に解除するよう政府に要望していた。

【川俣町の避難区域別人口】
▼居住制限区域
55世帯、125人
▼避難指示解除準備区域
497世帯、1046人
■準備宿泊登録者数
42世帯、116人(8月10日現在)


■不安解消策求める声
 10日の川俣町議会全員協議会では、山木屋地区の避難指示解除を来年3月31日とした政府方針を評価する一方、除染に関する住民の不安解消策などに議員から不満が出た。町と町議会は住民懇談会をすぐには開けないと判断し、政府に再度の回答を求めた。
 冒頭に原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長から古川道郎町長、斎藤博美町議会議長に手渡された回答書は100パーセント納得できる内容ではなかった。町によると、町などは線量や除染作業の進捗(しんちょく)に対する住民の不安を解消する仕組みづくりを求めていたが、政府は個別対応を強調するのみだったという。農地の栄養回復や除染作業で損傷した道路の改修なども具体策に乏しかった。
 後藤副本部長は全員協議会終了後、「住民の不満をどう情報共有すべきかなどを考えたい」と話した。
 同日開かれた山木屋行政区長会では出席者が政府の回答に理解を示した上で、農地の活用方法などに政府の継続支援を求める意見が出た。広野太会長は「来年3月末という一つの区切りが示されてホッとした。解除後も住民に寄り添った対応をしてほしい」と語った。

■山木屋の農地活用要望 川俣町などが福島大に
 川俣町、町議会、山木屋行政区長会は10日、平成31年4月に農学系教育研究組織(農学類)を設ける福島大に対し、同町山木屋地区の農地で農業の復興・再生に向けた実習や研究に取り組むよう要望した。
 高冷地特有の気候特性や農学類を設置する金谷川キャンパスからの近さ、避難区域であることなどを踏まえ、安全な農作物の供給や安心な消費などの研究に活用するよう求めた。古川道郎町長、斎藤博美町議会議長、広野太行政区長会長らが同大で中井勝己学長に要望書を手渡した。中井学長は「農学類の構想をまとめる中で実践教育を行う場所の候補の一つとして検討したい」と答えた。
 古川町長は福島民報社の取材に「地域に合った農業の研究で福島大に山木屋の復興を支援していただきたい」と話した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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