東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

外部被ばくと関連性なし 18歳以下の甲状腺がん有病率

 福島医大放射線医学県民健康管理センターの大平哲也教授ら同大のグループは8日、東京電力福島第一原発事故による外部被ばく線量の程度と、甲状腺検査の先行検査時に甲状腺がんが見つかった18歳以下の割合(有病率)に関連はみられないとする研究結果を発表した。今月2日、国際医学学術誌「メディスン」電子版に論文が掲載された。
 大平教授らは、甲状腺検査先行検査(平成23年10月から27年6月)を受診した県内全域の18歳以下の30万476人を対象に研究を行った。
 原発事故後4カ月の生活状況などを把握する県民健康調査の基本調査で分かった個人の外部被ばく線量の結果をもとに、県内を市町村単位で(1)外部被ばく線量が5ミリシーベルト以上の人が1%以上(2)外部被ばく線量が1ミリシーベルト以下の人が99・9%以上(3)それ以外-の3つの地域に分けた。その上で、甲状腺がんの有病率を指標化すると、最も線量が高い(1)が10万人当たり48、最も低い(2)が同41、(3)が同36で、「地域間で違いはみられなかった」とした。内部被ばく線量を考慮した世界保健機関(WHO)の被ばく線量分析結果に基づく地域分類でも検討したが、関連性はみられなかった。
 さらに、甲状腺検査と基本調査をともに受けた12万9321人を対象に、個人の外部被ばく線量と甲状腺がんが見つかった18歳以下の割合につながりがあるかも調べた。基本調査による外部被ばく線量が(1)1ミリシーベルト未満(2)1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満(3)2ミリシーベルト以上-における甲状腺がんの割合はそれぞれ0・05%、0・04%、0・01%で、「関連はみられなかった」と結論付けた。
 大平教授は「これまでも中通り、会津、浜通りといった地域分けで甲状腺がんの悪性または悪性疑いの割合を発表していた。今回は被ばく線量で(市町村を)分けて比較したが、地域でも個人でも差がみられなかったことに意味がある」とした。一方、「今回の論文は原発事故後4年間に限った内容。目立った変化がないか今後も調べていく必要がある」としている。

■甲状腺検査38万人継続し見守り
 甲状腺検査は原発事故当時、18歳以下だった約37万人を対象に平成23年度に始まった。26年度からは事故後1年間で生まれた子どもを加えた約38万人を対象に2年かけて本格検査を行った。28年度以降は20歳を超えるまでは2年ごと、それ以降は25歳、30歳など5歳ごとの節目の検診により継続して見守る体制を取る。
 国立がん研究センターなどによると、子どもの甲状腺がん発症は100万人に数人程度とされてきた。一方、県内で行っている症状がない子どもに対する大規模な検査は前例がないため、「県内の調査結果が原発事故の影響かどうかこれまでの調査と比較し、判断するのは難しい」との意見もある。甲状腺検査では県内で多くのデータを蓄積するため、年齢や外部被ばく線量なども継続して調べている。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧