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【震災から5年6カ月】中間貯蔵施設・除染 中間貯蔵施設建設 用地契約全体の5%

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設は県と大熊、双葉両町が搬入受け入れを決めてから間もなく1年半となる。環境省は担当者職員を増やして地権者交渉に当たっているが、用地契約が完了したのは全面積の約5%にとどまる。施設整備に向けて依然として厳しい状況が続く。こうした中、建設予定地内にある大熊町の町有地に、県内の学校敷地内に仮り置きされていた廃棄物の搬入が始まった。


■環境省 担当者増やし対応

 環境省によると、7月末現在、地権者2365人のうち、土地の売却や地上権の設定に合意したのは234人。契約済みの面積は約78ヘクタールで、建設予定地約1600ヘクタールの約4・9%となっている。同省は平成28年度内に、累計で140ヘクタールから370ヘクタール程度の用地取得を目標に掲げているが、実際の取得面積は最低目標値の約半分。「先祖伝来の土地を手放したくない」と、用地交渉に慎重な地権者が少なくないという。

 用地取得を加速させるため、環境省は28年度、地権者交渉を担当する職員を前年度の約80人から40人程度増やした。一方、県は職員10人を同省に派遣し、共同で住民への説明や補償額の審査に当たっている。

 環境省の担当者は、7月だけで新たに約30ヘクタールの用地を確保できたとし、「以前と比べれば、1カ月間の取得面積としてかなり広い。人員拡充の効果が出ている」と強調する。

 同省は32年度末の時点で、建設予定地の最大7割(1150ヘクタール程度)まで取得可能との見通しを示している。担当者は「今後、用地交渉の人員をさらに増やすのは容易ではないだろう。業務内容をさらに見直しながら、職員一人一人の能力向上にも努めたい」としている。


■大熊、双葉町が町有地提供 復興加速へ決断

 中間貯蔵施設整備に向けた用地交渉が難航する中、大熊、双葉両町は建設予定地内にある町有地の提供を決めた。

 両町は当初、「町が交渉を始めれば、契約に慎重な地権者をあおっていると受け止められる」として、町有地の提供に慎重な姿勢を示していた。

 しかし、5月に自民党東日本大震災復興加速化本部と党県連が「県内の学校などに保管されている除染廃棄物の搬入を急ぐため」として、両町の建設予定地内の町有地を国に提供するよう要請。大熊町は「子どもたちの安全・安心を確保し、(県内の)復興を加速するために町の協力が必要」として、町営スポーツ施設「ふれあいパークおおくま」の敷地を貸し出すことにした。7月に学校からの搬入が始まった。

 双葉町は7月に町民会議と行政区長会を開くなどして町民の意見を集約し、8月に町議会全員協議会で町有地提供の方針が了承された。町はどの土地を対象とするか環境省と協議している。

 その後、大熊町は建設予定地内にある神社など一部を除いた町有地を国に提供する方針を固めた。住民帰還が始まる前に除染廃棄物を可能な限り搬入する環境を整える狙いがある。今月中にも町議会に示した上で町民に説明する予定だ。


■中間貯蔵施設を巡る動き(平成28年3月11日以降)

3月27日 ▼環境省が予定面積約1600ヘクタールのうち平成32年度末までに最大7割を取得できるとの見通し示す
3月28日 ▼除染廃棄物を中間貯蔵施設建設予定地の保管場に運ぶパイロット(試験)輸送が完了
4月18日 ▼除染廃棄物を中間貯蔵施設の建設予定地の保管場に運ぶ本格輸送を開始
5月23日 ▼自民党東日本大震災復興加速化本部と党県連が大熊、双葉両町に町有地提供を要請
5月31日 ▼大熊町が町議会全員協議会で県内の学校に保管されている除染廃棄物の保管場として建設予定地内の一部の町有地を国に提供する方針を示し、了承される
8月 4日 ▼双葉町議会が全員協議会を開き、建設予定地内の町有地を県内の学校に保管されている除染廃棄物の保管場として国に提供する町の方針を了承

■帰還困難区域の除染 国、復興拠点整備と併せ実施

 原発事故に伴う帰還困難区域の除染について、国は区域内の復興拠点整備と併せて実施するとしている。

 これまで環境省は浪江、双葉両町の帰還困難区域内で除染モデル実証事業を行い、除染による線量の低減効果などを検証してきた。その結果、生活圏の空間放射線量は両町で50%から80%の範囲で低減した。

 政府は8月、帰還困難区域の取り扱いに関する基本方針を決定。5年をめどに避難指示を解除し、居住できるようにする復興拠点を各市町村ごとに設定し、整備するとした。除染とインフラ整備を合わせて行う方針だ。区域内の主要道路についても、安心して通行できるよう除染するとしている。


■川俣、広野、川内、葛尾が第1弾 林業再生へ除染モデル事業

 原発事故に伴う森林除染を巡り、国は川俣、広野、川内、葛尾の4町村で里山再生モデル事業の第一弾を実施する。放射線量の低減や林業再生に向けた効果的な手法を探る。

 川俣町は山木屋小の学校林「第2親子の森」の2ヘクタールで実施する。樹木の植栽などの体験活動を再開するため、遊歩道などを除染する。

 広野町はJヴィレッジスタジアム周辺の町有林約5ヘクタールが対象。遊歩道を除染し、施設を訪れた観客らが散策できるようにする。

 川内村は、かわうち保育園周辺の国有林や民有林約9ヘクタールで実施する。帰村、移住する園児・幼児の野外活動の場とする。

 葛尾村は村中心部に位置する村営住宅団地周辺の国有林や民有林約26ヘクタールで行う。周辺住民に散策の場として利用してもらう。

 各町村とも今後、詳細な事業計画の策定に向けて調査に入る。

 モデル事業の実施区域は避難区域(解除済みの地域を含む)とその周辺の計17市町村。国は計10カ所程度で実施する予定で、他の市町村についても順次、実施地区を決める。


■除染廃棄物の本格輸送 32年度まで1250立方メートル目標

 原発事故に伴う除染廃棄物を中間貯蔵施設建設予定地内の保管場に搬入するパイロット(試験)輸送は双葉町を除き、3月28日に完了した。4月18日からは本格輸送が始まっている。

 試験輸送は輸送手段の効率性や安全対策の効果などを確認するため、平成27年3月13日に始まった。汚染土壌や草木、1キロ当たり10万ベクレル以上の焼却灰などが対象で、県内43市町村から計4万5382立方メートルを大熊、双葉両町の保管場に運んだ。

 本格輸送は大熊町大川原地区の南平仮置き場から始まった。8月末までの輸送量は9市町村から計2万326立方メートル。環境省は32年度までの5年間で計約1250立方メートルの搬入を目指している。

 双葉町は4月の町議会全員協議会で本格輸送は時期尚早だとする意見で一致したため、試験輸送を継続している。

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