東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

祖母に誓う日本一 ボクシング松本竜也選手(南相馬出身)

全日本新人王を目指し、トレーニングに励む松本選手=17日、東京・角海老宝石ジム

 南相馬市原町区出身のプロボクサー松本竜也選手(22)=東京・角海老宝石ボクシングジム=はスーパーバンタム級東日本新人王に就き、12月23日に行われる全日本新人王決定戦に挑む。相馬農高時代、東日本大震災の津波で自宅を流され、愛する祖母を亡くした。暗い心を救ってくれたのはボクシング。青春の全てを懸けてきた。大一番を前に「ばあちゃん、見ていろ。必ず日本一を取る」と固く誓う。
 17日、東京都豊島区北大塚の角海老宝石ボクシングジムに、9戦7勝(2KO)2敗の戦績を持つ松本選手の姿があった。全日本新人王決定戦では5戦5勝(2KO)の西日本新人王、岡本文太選手(井岡ボクシング・プロフェッショナルジム)と戦う。サウスポーの相手をイメージしながら、左右の拳を時折、鋭く繰り出した。
 松本選手は平成22年4月、南相馬市の相馬農高に入学した。中学校時代は野球部の選手として活躍したが、高校では部活動に所属しなかった。1年生が終わるころ、震災が起きた。海から100メートルほど離れた自宅は津波で流され、祖母ツネ子さん=当時(66)=が犠牲になった。共働きの両親に代わり、いつも優しく見守ってくれていた大切なばあちゃんだった。
 福島市、宮城県、山形県と避難生活を続け、友人とも離れ離れになった。この先、自分は何を支えに生きていくのか。不安に押しつぶされそうになる中、一筋の光のように映ったのがプロボクシング世界王者の長谷川穂積選手の活躍だ。自分も強くなりたい。2年生でボクシング部の門をたたいた。
 卒業後、平成25年春に上京。角海老宝石ボクシングジムに入り、飲食店で働きながらプロを目指した。スーパーバンタム級は55.34キロ以下の階級で、170センチの松本選手が試合に出るには毎回約6~8キロの減量が必要となる。もともと筋肉質で、体重は容易に落ちない。飲み水を我慢する時もあったという。支えたのは亡き祖母と家族、南相馬の友人を思う強い気持ちだった。「石にしがみついても、プロになる。被災地で踏ん張るみんなを自分の拳で勇気づける」
 思いはかなった。上京から半年後、プロテスト合格の朗報が届く。巧みな足さばきで相手の攻撃をかわし、右のカウンターで切って落とす戦法を身に付けて頭角を現した。
 今年11月、都内で行われた東日本新人王決定戦には地元の仲間約20人が訪れ、声援を送った。12月の試合にも南相馬から応援団が駆け付ける予定だ。全日本新人王のタイトルを獲得すれば、日本ランク15位内に入る。その先には夢にまで見た世界が待っている。
 松本選手は「応援してくれる人の笑顔が見たい。日本一になって今年を締めくくりたい」と鋭いまなざしで先を見据える。
 ジムの鈴木真吾会長は「ここまでこれたのは努力の結果。試合で実力を存分に発揮し、タイトルを取ってほしい」と期待を寄せている。

■東京でゴング

 全日本新人王決定戦は12月23日午後2時から東京都の後楽園ホールで行われる。料金はリングサイド席が1万円、指定席Aが7000円、指定席Bが5000円、自由席が3000円。問い合わせは角海老宝石ボクシングジム 電話03(3915)8904へ。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧