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事業者の7割利益減 震災前比 賠償、6割未請求

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域外の県内商工業者の69・6%で営業利益が東日本大震災前の水準に回復していない。21日、県商工会連合会のアンケートで明らかになった。回答事業者の59・0%が東電に営業損害賠償の請求をしていない実態も浮かび上がった。連合会は原発事故の風評被害が広範囲に及んでいる現状を裏付ける結果だとし、東電に対して避難区域外の事業者への賠償の周知徹底を求める。

■避難区域外 県商工会連が調査

 調査は原発事故から5年以上が経過し、避難区域外の商工業者に対する営業損害の賠償が来年7月までの2年分を一括で支払い、その後は個別対応になることから会員事業者の現在の経営状況を調べるため実施した。今年5~6月、福島大やいわき明星大などの協力を受け、避難区域外にある県内77商工会の1万9142事業者を対象にアンケートを行い、4492事業者から回答を得た。
 原発事故前と比較した営業利益の状況は【グラフ】の通り。回答した4446事業者のうち営業利益が減少したと回答したのは69・6%に当たる3092事業者。このうち、減少割合が2割以下だった事業者は36・3%で最も多く、2~5割は24・8%、5~7割は5・6%、7~9割は1・6%だった。9割以上減少した事業者も1・3%あった。業種別では宿泊業や卸売業、食品製造業、飲食業で減少と回答した割合が高かった。
 利益の減少理由について、50・0%の事業者が「風評被害」を挙げ、31・7%の事業者は取引先が回復していない現状を示した。「風評被害」を挙げた事業者は地域別で大きな差がなかった。
 損害賠償を一度も請求していなかったのは59・0%の2638事業者。他は事故直後に1~2回請求しただけの事業者が12・8%、「賠償を打ち切られていた」が2・8%、「請求したが一度も認められていなかった」が1・5%。
 請求しなかった理由は「自分の事業には賠償が出ないと思った」が最多で、「請求の窓口や手順が分からない」「請求できると知らなかった」という回答も多かった。
 調査したいわき明星大の高木竜輔准教授は「減益の理由が原発事故だと感じても、賠償請求はできないと誤解している事業者が多い」と分析。連合会は、賠償の認識が事業者の間で十分に深まっていないとみて、今後実態の把握と周知徹底を進める方針だ。
 轡田倉治県商工会連合会長は「多くの事業者で風評被害が今も続いている。時間が過ぎるとともに因果関係の証明が難しくなる。東電に損害賠償請求の丁寧な説明を求めていく」と述べた。

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