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再建計画に壁(1)浪江 「人手が足りない」 応援、自助努力は限界

復興の拠点となる浪江町役場。帰町へ向けて職員は膨大な業務に追われている

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く浪江町。町内では来年春の帰町開始に向けた動きが本格化している。しかし、副町長の本間茂行(44)は町役場机上の書類の山を見つめ表情を曇らせていた。
 町は第2次復興計画の策定を進めている。当面の生活再建のみならず、10年後の未来を見据えた町の再生像を町民に示す狙いがある。観光交流拠点の整備や新産業の誘致促進、医療・介護・福祉体制の構築などを進め、原発事故前のにぎわいを取り戻す設計図でもある。
 実現に向けた事務量は膨大だ。盛んだった漁業の復活、町土の7割を占める森林の活用など浪江特有の課題に対する施策も盛り込まれている。本間は「本来ならそれぞれに専門の課を新設する必要があるが、圧倒的に人手が足りない」と頭を抱える。
 現在の町の正規職員数は約160人で、震災前の約180人よりも減っている。全国の自治体からの派遣職員や臨時職員で補ってはいるが、十分ではない。帰町が始まれば、住民の生活再建支援など業務はさらに増えると予想される。
 人手不足は復興計画の実現に影を落としている。町は産業再生と雇用確保のため、全国の企業約3000社を対象に町内への進出意向を聞くアンケートを実施し、これまでに約20社から前向きな回答を得た。本来ならすぐに全ての会社と誘致交渉を始めたいが、地場企業の支援で手が回らず、町職員が直接赴くことができたのは1社にとどまる。残りは業者に委託しているのが現状だ。
 町はこれまで、県と連携して全国の自治体を訪問するなどして職員の派遣を求めてきた。しかし、各自治体も財政事情から人員が余分にいるわけではなく、現状の14人の派遣が限界に映る。職員派遣に協力してきた全国の自治体からは「そろそろ引き揚げたい」との話が上がるようになった。
 一方、町職員も避難先での暮らしになじんできた。町幹部の一人は「避難先で6年近く暮らした事実は重い。避難指示が解除され、全ての業務が町内に戻れば辞職する職員が相次ぐかもしれない」と懸念する。
 本間は窮状をつなぐ手だてを求める。「自助努力には限界がある。国の退職職員の再任用など人員確保に向けた支援が必要だ」
   ◇   ◇
 政府は来年3月、居住制限、避難指示解除準備の両区域の避難指示を解除する方針だ。古里で新たな暮らしを始めるための復興計画を実現するにはいくつもの壁が待ち構える。避難市町村の苦悩を追う。

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