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再建計画に壁(2)浪江 「財源支援なければ」 実現不安焦る自治体

 海岸近くに並ぶロボットテストフィールド、国際産学連携拠点、風力などの再生可能エネルギー拠点、復興祈念公園候補地...。浪江町の復興計画には新生福島を象徴する大型施設がひしめく。
 事業実現には巨額の建設費用がかかる。町は国の交付金が充てられると見込んでいるが、地元負担はあるのかどうかはいまだ調整段階だ。復興・創生期間は平成32年度まで。それから先の財政支援の保証はない。施設の維持費や人件費はどうなるのか。町民からも大規模施設を町が抱えられるのか不安視する声が出ている。
 副町長の宮口勝美(61)は支援継続に向け「国とせめぎ合いを続けている状態」と交渉の難しさを明かす。

 双葉郡で最多の人口を誇った町の財政は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による複合災害の影響で急激に厳しくなった。
 税収入の3~4割を占めていた住民税は震災前に約10億円あったが、震災後は500万円以上の所得がある町民からのみ徴収し、約5億円に半減した。減免措置を続けるかは政治的判断が必要になる難しい問題だ。
 全額を免除している固定資産税は来春の居住制限・避難指示解除準備両区域の避難指示解除後に徴収を再開する方針だが、原発事故の影響で土地・建物などの資産価値が下がっている。企業の休業などにより法人税もかつてほど税収は期待できない。国の交付金が配分されなければ、職員の人件費を賄うことすら難しい状況に陥る。
 このため町が古里再生のために考えた独自の計画は財源の裏付けが一層乏しくなる。町役場北側に設置を計画する町交流・情報発信の拠点は道の駅の機能を備え、町が復興の目玉にしたい施設だ。町の担当職員は「国の補助が全て出るかどうか不透明なまま進めている。交付されない部分は計画変更の可能性もある」と実現を懸念する。

 二本松市の町役場二本松事務所の町長室にあるカレンダーは震災からの日数を刻む。数字はとうに「2000」を超えた。町長の馬場有(68)は「原発事故で失われた財源はあまりに大きい。国の継続支援がどうしても必要だ」と訴える。町幹部の一人は言い切る。「仮に復興・創生期間が終わる4年後に交付金などの財源措置が途絶えるならば、国はその時点で浪江を見捨てたことになる」
 財源の裏付けが不安定な復興計画。町職員は焦りを募らせ、未知の古里再生に必要な支援を求める。時は確実に過ぎていく。(敬称略)

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