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再建計画に壁(3)大熊 国、横並びに固執 個別事情考慮せず

 東京電力福島第一原発1~4号機が立地する大熊町は、町の62%の地域が帰還困難区域に設定され、現在も全町避難が続く。
 空間放射線量が高い地域をどう再生させるか。原発事故発生以来の難題に対し、政府は8月、帰還困難区域内に居住可能な「復興拠点」を整備し、避難指示の解除を目指す方針を示した。
 町はすぐに国、県と整備計画の検討を始めた。年内にまとめ、必要となる事業費を平成29年度の国の当初予算に盛り込む。ここまでは町と国の考えは一致するが、実際の事業の進め方となると、双方に溝が横たわる。

 町は都市計画案を明らかにした新役場庁舎を置く大川原地区(居住制限区域)を第1次復興拠点とし、町中心部で帰還困難区域にあるJR常磐線大野駅周辺に第2次復興拠点を整備して広範囲に居住空間をつくり出す絵図を描く。
 実際に2つの拠点をつなぐ下野上地区西側では町の要望に基づく国の先行除染が年内に95ヘクタール終わり、続いて52ヘクタールの実施が決まっている。駅周辺まで広く除染して上下水道や電気などのインフラ整備を進められれば、町中心部の避難指示解除が一気に進むと見通す。
 一方、国の対応は町の望み通りにはいかない。8月に示された政府方針を基に帰還困難区域の復興拠点の除染や整備を29年度から5年間で実現できるかどうかに重きを置く。
 内閣府原子力被災地支援チームの担当者は町の望む第2次拠点の整備構想について「意向は尊重するが、他市町村と差が生じないようにもしないといけない」と慎重な姿勢を崩さない。

 そもそも町が望むのは町全域の除染とインフラ整備だ。町第2次復興計画でも「大野駅や下野上地区を中心に除染・インフラ整備が完了した地区から生活環境の整備を進める」と明記している。
 だが政府方針には33年度以降の除染作業を保証する記述はない。常磐線東側に残る下野上地区の一部や熊地区、大野駅周辺から西に広がる野上地区など人口の多かった町内の広大な土地が未除染のままだ。町は帰還が始まっても、現状では戻る町民は少ないとみる。町が独自に除染するには広すぎ、財政が破綻するのは明らかだとして国に柔軟な復興拠点整備と全域の除染を求める。
 町長の渡辺利綱(69)は国の手法が悠長に映り、いら立ちを隠さない。町内の帰還困難区域には人口の96%が住んでいた。「帰還困難区域の復興計画は『町土回復』のほぼ全てに影響する。大熊ならではの事情があることを国は強く意識してほしい」と訴えている。
(敬称略)

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