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再建計画に壁(4)飯舘 宙に浮くミニ拠点 住民反発、村は板挟み

 飯舘村の長泥行政区は村南端に位置し、人口は約260人。東京電力福島第一原発事故により村内で唯一帰還困難区域に設定された。他の19行政区は居住制限区域か避難指示解除準備区域で、平成29年3月末に避難指示が一斉に解除される。居住制限区域の深谷行政区内では復興拠点として道の駅などの整備が進められている。
 「他行政区と比べ、取り残されている感覚だ」。長泥行政区長の鴫原良友(66)は不満を募らせる。一刻も早く除染を終えて避難指示を解除し、かつての古里を取り戻す。長泥住民の切なる願いだ。
 政府方針は帰還困難区域に復興拠点を設け、除染とインフラ整備を少しずつ進めるとしているが、復興拠点を設けるにしても行政区内全体の除染はどうなるのかという問題にぶつかり、拠点整備計画の結論が出ない。長泥住民の望む全体除染は部分的除染にとどまる拠点設置の先にある。

 「長泥行政区全域を除染すべきだ」。11月6日に福島市で開かれた長泥行政区の住民説明会で、帰還困難区域の政府方針に対し住民から反発する声が相次いだ。
 政府の発言は冷めていた。「大熊、双葉両町のように中心部が帰還困難区域となっている場合もある。平等性を考慮すると、長泥行政区だけ特例として(全体除染を)認めるのは難しい」との立場を貫いた。
 村は人口規模などを考慮しながら早期帰還を願う住民の声を反映して、まず国が「ミニ復興拠点」を設け、小規模の拠点づくりと周辺除染を進める打開案を提示した。寝泊まりや懇談ができる場を整備し、コミュニティー再生につなげる。住民からは「宿泊希望者がシャワーを浴びられる施設を設けてはどうか」など前向きな意見も出た。
 国は柔軟に対応する方針は示したものの、ミニ復興拠点の具体的な構想や拠点周辺以外の除染の見通しは示さず、住民の賛意は広まらなかった。

 長泥行政区は今後、住民への聞き取りやアンケートを行い、住民が願う長泥全体の将来像をまとめる。村や国に住民の意思として復興を急ぐよう伝える構えだ。
 村長の菅野典雄(70)は「他の行政区と同じように長泥の復興が前進するよう努めたい」と語り、国に長泥行政区の整備計画案を早期に提出する考えだが、住民の反発は根強く、計画案を描けない。案ができなければ国の平成29年度当初予算に反映されず、「置いて行かれる」という住民の不安はいっそう増す。
 長泥全体の対策を求める住民、平等性を主張し行政区の全体像を示さない国、板挟み状態の村。時間とともに村職員の表情は焦りの色が濃くなっている。(敬称略)

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