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再建計画に壁(5)葛尾 柔軟さ欠く交付金 事業展開に遅れも

葛尾村落合地区の復興交流館建設予定地。当初計画では造成工事が行われているはずだったが、手つかずのままだ=2日

 帰還困難区域を除く避難区域が6月に解除された葛尾村は復興計画「かつらお再生戦略プラン」に基づき、復興拠点とした村中心部の落合地区に住民や観光客らの交流の場となる復興交流館などを設け、にぎわいの創出を目指している。
 目玉施設だった復興交流館は今年10月の造成工事開始を見込んでいたが、予定地は今も雑草が生い茂ったままだ。
 復興交流館は実施設計を作る段階まできていた。平成27年夏ごろに国の福島再生加速化交付金を申請する際、復興庁から「同じ事業項目が別の建物で使用されている。項目を変更してほしい」と"物言い"がついた。村は限られた職員で申請書を作り直し、県内産木材の使用など新たな目的を加えた上で再申請した。ようやく認可が下りたが、完成は29年度中になり、当初より1年ほどずれ込む見通しだ。
 村は加速化交付金で選べる事業項目の回数を限定せず、複数回選べるような制度改正の必要性を強調する。

 にぎわい創出の遅れは村民の帰還意識にも影響する。避難指示が解除されて半年近くになるが、村に戻った住民は102人。解除された地区の全村民1335人の1割に届いていない。
 住民は「避難先から古里に戻って気持ちは落ちついたが、生活が不便」と訴える。20キロほど離れた田村市船引町まで食料や日用品を買いに出掛ける日々を送っている。
 復興庁は今年4月、避難指示解除前の住民説明会で商店や飲食店の営業が「年内に再開する」とし、「生活できる環境が一定程度整う」と説明していた。今月4日現在、再開した商店はない。予定する3店舗は福島相双復興官民合同チームによる補助率の高い事業に申請中で、稼働は来春以降になる。

 移動に苦労する山間部の村民にとって商店の存在は生活に直結する。村は地元商店が再開するまでの間、スーパーなどによる移動販売を検討したが、市場が小さいため事業展開はできないと断られた。
 帰還者も事業再開希望者も守りたいが、人口の少ない小規模自治体ゆえに事業が思うように進まない。10月に村長に就任したばかりの篠木弘(65)は「村の生活者には負担を掛ける」と苦しい胸の内を語り、買い物環境の整備支援を国に望む。
 避難区域が設定された市町村はそれぞれが特有の事情を抱え、復興計画を進められない悩みを抱える。国が再建への壁を取り除き、どれだけ柔軟に対応するか。計画の実現は正念場を迎えている。(敬称略)=「再建計画に壁」は終わります。

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