東日本大震災アーカイブ

原乳 出荷制限解除 5市町村、避難設定区域初

 政府の原子力災害対策本部は26日、東京電力福島第一原発事故後に旧警戒区域、旧計画的避難区域となった5市町村の原乳の出荷制限を5年9カ月ぶりに解除した。県によると、避難区域が設定された市町村で原乳の出荷制限が解除されるのは初めて。県は営農再開や住民帰還につながるとみている。
 出荷制限が解除されたのは、旧警戒区域と計画的避難区域に設定された区域のうち、現在は避難区域外となっている田村、南相馬、楢葉、川内、葛尾の5市町村の一部。
 県は出荷制限解除に向け、28年5月から12月まで楢葉町の計31検体で放射性物質のモニタリング検査を実施した。全ての検体で食品衛生法の基準値(1キロ当たり50ベクレル)を下回り、政府の定めた解除要件を満たした。県によると、31検体は全て検出下限値未満だった。
 政府は他の4市村の一部区域についても乳牛への放射性物質の影響が楢葉町と同程度とみて解除を決めた。
 今回出荷制限が解除された区域で酪農経営を再開する場合、生産者ごとに原乳の放射性物質検査を実施し、食品衛生法の基準値を下回る必要がある。
 県によると、旧警戒区域と旧計画的避難区域では原発事故前、34軒が酪農を営んでいた。県酪農業協同組合の宗像実組合長は「避難している人が戻って営農再開しようという勇気が持てる。酪農の復興に向けた大きな一歩」と話している。

カテゴリー:福島第一原発事故