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避難「個別計画」策定3割 高齢者ら要支援者 国、対策示さず

 高齢者や障害者ら避難行動要支援者の災害時の支援態勢を定める「個別計画」の策定作業が県内の市町村で難航している。14日までの福島民報社の調べで策定済みは20市町村の約5万2000人で対象者約18万人の約3割だった。対象者の同意確認に時間を要する上、担当職員を確保できない背景がある。国は県や市町村からの支援要請にこれまでのところ応じる構えはない。

■該当者18万人余

 個別計画は要介護認定を受けた高齢者、身体・知的障害者、難病患者ら大規模災害時に自力で避難できない人を対象としており、県内の該当者は18万916人に上る。福島民報社が東京電力福島第一原発事故で全域避難した6町村を除いた市町村から聞き取った直近の策定状況は【表】の通り。
 人数にかかわらず個別計画をつくったのは福島市など20市町村。対象者全員を完了したのは柳津、三島、広野、川内の4町村だった。具体的な作業を始めた「策定中」は相馬市など25市町村だった。6町村は策定時期を未定としている。作業に入っていない「未着手」は会津若松、白河両市など8市町村。このうち5市町村が策定時期を見通せていない。

■壁

 策定に向けた課題を各市町村の担当者に聞いた。「個人情報保護の観点から作業に時間を費やしている」が31市町村で最多だった。個別計画策定には要支援者本人や家族の同意が必要だが、「生活実態を知られたくないという声が多い」(会津坂下町)などの声が目立った。
 未着手の猪苗代町は文書を郵送して同意を得る作業を進める考え。担当者は「郵送には経費と時間がかかる上、どの程度の返信があるか分からない。効率的な作業の進め方に国は何らかの方策を示すべきだ」と訴えた。
 次いで多かったのが「担当職員の不足」を挙げた23市町村。特に未着手の8市町村に多かった。
 個別計画には記載項目が避難先、緊急連絡先など細目が盛り込まれる。対象者を戸別に訪問して聞き取る作業もあるため、担当者の手が回らないケースが目立った。東日本大震災、原発事故で被災した市町村では避難者支援などの業務量の増大も影響していた。新地町の担当者は「復興業務に応援職員を派遣してもらっているが、それですら手が回らない。策定に割く余裕はないのが現実だ」と述べた。

■地方任せ

 内閣府と総務省消防庁は個別計画策定を巡る市町村の実態を把握している。その上で「各地域の実情に応じて柔軟に定めてほしい」との見解を示すにとどまっている。国の財政が逼迫(ひっぱく)する中、専門人材の派遣や効果的な補助制度も打ち出せない。策定に向けた指導も都道府県に委ねている。
 県災害対策課は平成29年度に未着手の市町村をゼロにしたい意向だ。今月から市町村を個別に訪問し助言・指導を進める。担当者は「震災の津波などによる直接死の多くは高齢者だっただけに個別計画の策定は喫緊の課題だ。国の責任の下で支援策を講じるべきだ」としている。

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