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一部建設中止を検討 原発事故災害公営住宅 県、入居希望者減少踏まえ

 東京電力福島第一原発事故の避難者向け災害公営住宅の整備を巡り、県は建設を保留している183戸(4市町村、6団地)の一部について建設中止を視野に検討に入った。空き室をなくすためで、今春の応募状況を踏まえ平成29年度当初にも判断するもようだ。空き室が出てきたのは避難者の生活事情などで入居希望が減っている背景がある。利用促進に向け、県は災害公営住宅での利便性向上に向けた支援を国に求める。

■現実

 県は昨年6月、整備計画で示した全4890戸のうち、211戸の建設を保留した。このうち広野町の28戸は建設を決めたが、残る福島、いわき、三春、大玉の4市町村に計画する183戸は保留のままだ。
 建設に踏み切れないのは入居募集中の災害公営住宅需要が高まらないためだ。県が昨年12月下旬に中間発表した募集では、計531戸の募集に対し申し込みは60戸で、倍率は0・11倍にとどまった。
 今春は浪江、富岡、川俣、飯舘の4町村で避難区域の解除が見込まれている。県は「駆け込み需要」があるとみて改めて募集する方針だが、どの程度応募者が増えるかは読めない。県幹部の一人は保留分の扱いは現時点で検討中とした上で「全て建設するのはさらなる空き室増加につながる」との見解を示す。

■変化

 県の4890戸の建設計画は25年度に実施した避難者の入居意向調査を踏まえ設定した。しかし、27年度に改めて調査した結果、必要なのは4650戸程度に減少した。当初見込みより減った一因に、避難者の住環境や意向の変化がある。県は全戸を28年度末までに建設する計画だったが、用地交渉が難航したため完了時期を29年度末に延ばした。避難生活が長引く間に自力で民間住宅を確保し、生活を再建したケースも多いという。
 災害公営住宅はすぐには帰還できない避難者にとって重要な生活基盤で、供給不足は許されない。一方、供給過剰となれば空き室が増え、維持管理費が膨らむ。

■課題

 県は災害公営住宅の利便性を高めれば、まだ決めかねている避難者が入居しやすくなるとみて、国に新たな支援を求める方針だ。例えば仮設住宅に住む避難者の中には、災害公営住宅への転居でかかりつけの医療機関から遠のくのを懸念している人も多い。県は災害公営住宅と医療機関を結ぶバスの運行費用の支援を国に求める。また、仮設住宅で築いたコミュニティーを保ちたいと考える人にはグループでの申し込みを周知する。
 一方、保留分の建設を中止した場合、県有地となった建設予定地をどう活用するかが課題となる。県は「建設中止が決まった場合、住民の意向をしっかりと聞いた上で国と協議し判断したい」(生活拠点課)としている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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