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旧原発予定地無償譲渡 帰還進む利用期待

南相馬市の仮設住宅で新聞に目を通しながら復興への思いを語る高野さん

 東北電力が浪江・小高原発(浪江町・南相馬市)の旧建設予定地を浪江町へ無償譲渡する方向で検討に入ったことが明らかになった23日、古里を離れて暮らす避難者から「復興を後押しする土地利用を」との声が上がった。経済関係者は先端産業の集積による復興の加速化を期待した。原発建設の計画公表から約半世紀を経て、広大な用地は復興の象徴に姿を変える。
 「原発の建設予定地が浪江の復興に役立つ土地に生まれ変わるのはありがたいことだ」
 建設予定地近隣の浪江町棚塩で農業を営んでいた前田早苗さん(84)は東北電力の姿勢を歓迎した。南相馬市の災害公営住宅で生活しており、「住民の早期帰還につながるような土地の有効利用策を見いだしてほしい」と町に求めた。
 浪江町藤橋から避難し、南相馬市原町区の八方内仮設住宅の自治会長を務める高野登さん(75)は無償譲渡を検討している土地での産業振興を望んだ。「働く場が生まれれば帰還も進むはず」と期待を寄せた。
 町復興ビジョンの中間報告には、ドローンの滑走路や産業団地の整備などが盛り込まれている。高野さんは町の避難解除に向けた記事が載った新聞を手にしながら、「自分の周りで帰還を考えているのは高齢世代ばかり。若い世代が帰らなければ町の再興はない。そのために産業創出は不可欠」と言葉に力を込めた。
 町から福島市に避難している岡洋子さん(56)は「土地が無償譲渡されても、住民の生活はすぐには変わらないのではないか」と率直な心境を語った。
 岡さんは東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後の町消防団の活動を描いた紙芝居をアニメーション化し、全国に向けて発信している。「一人一人ができることを確実に達成していくのが大切だと思う。無償譲渡も将来に向けての第一歩になるはず」と願いを込めた。
 商工業関係者も期待を寄せる。二本松市での避難生活を強いられている町商工会の原田雄一会長(67)は「最先端技術の拠点が町内にできることで、地元経済に波及するのではないか」と再び町ににぎわいが戻る日を思い描いた。町の居住制限、避難指示解除準備両区域の解除に向け、「同時に住環境をはじめとした生活環境の整備を進めなければ十分な効果は得られない」と注文も付けた。

カテゴリー:福島第一原発事故

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