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「避難区域」避難指示 解除進む

 東京電力福島第一原発事故により12市町村に設定された避難区域は解除が進む。31日に浪江町、川俣町山木屋地区、飯舘村、4月1日に富岡町で予定されており、避難区域の全体面積は当初の1150平方キロから約3分の1の369平方キロまで縮小する。政府は帰還困難区域に特定復興再生拠点(復興拠点)を整備して人が住める環境を整える方針だが、生活基盤の復旧など住民帰還に向け課題は山積している。

※東京電力福島第一原発事故による避難区域 空間放射線量に応じて(1)原則立ち入り禁止の「帰還困難区域」(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)(2)日中の立ち入りが可能な「居住制限区域」(同50ミリシーベルト以下20ミリシーベルト超)(3)帰還に向けた環境整備を進める「避難指示解除準備区域」(同20ミリシーベルト以下)−の3つがある。


■産業再生 雇用確保が鍵 ロボット関連企業誘致 推進 浪江町(3月31日)

 双葉郡内で最も人口が多い浪江町の居住制限、避難指示解除準備両区域は31日に解除される。4月1日には役場のほぼ全機能が二本松市から町役場に戻る。

 町内の避難区域の住民数(1月末時点)は、居住制限区域が7858人(2934世帯)、避難指示解除準備区域が7469人(2907世帯)、帰還困難区域が3137人(1125世帯)。

 町内では仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」が昨年10月に開業。飲食店、生活雑貨店、コインランドリーなどが営業している。町役場隣に建設した町営診療所は28日に診察を始め、帰還する町民の健康を支える。一方、町民からは大型の買い物施設、入院できる医療機関を開設してほしいと求める声が出ており、町は県、国と連携して誘致を目指す。

 JR東日本の常磐線浪江−小高駅間は避難指示解除に合わせて再開される見込みだ。町内の請戸漁港は復旧が進み、震災と原発事故の影響で南相馬市の真野川漁港に係船していた漁船26隻が約6年ぶりに戻った。

 町内北東部には東北電力浪江・小高原発(浪江町・南相馬市)の旧建設予定地があり、町は約120ヘクタールを同社から譲り受けた。このうち、県が約6ヘクタールに小型無人機(ドローン)の滑走路を作る予定。町は残りの敷地にロボット関連企業の誘致などを進める方針で、産業再生や帰還後の町民の雇用確保につなげたい考えだ。

 教育面では浪江東中を改修し、小中学生が通う併設型連携校の整備を進めている。早ければ平成30年4月に開校する予定となっている。


■農業再生に努力 川俣町山木屋(3月31日)

 31日に解除される川俣町山木屋地区の対象は2月1日現在、居住制限区域が124人(56世帯)、避難指示解除準備区域が1036人(492世帯)で合わせて1160人(548世帯)。

 町は避難指示解除に合わせて4月3日から山木屋出張所の窓口業務を再開する。復興拠点の商業施設は6月、山木屋郵便局隣の114号国道沿いにオープンする。食堂、多目的ホール、食品や日用品を扱う店舗を備える。食堂と店舗は町直営で、業務委託での運営を検討している。地区唯一の医療機関「山木屋診療所」は昨年10月に診療を再開した。同月から始まったスーパーの移動販売が帰還する住民の生活を支える。山木屋小と山木屋中を統合した小中一貫校が平成30年4月に開校する。

 町は基幹産業である農業を再開する住民を継続的に支援するとともに、約900ヘクタールに上る地区内全体の農地の活用法を検討する。

 一方、コミュニティー維持や防犯・防災体制の再構築が課題となる。


■教育施設を集約 30年4月開校 通学者確保目指す 飯舘村(3月31日)

 31日、飯舘村の居住制限、避難指示解除準備両区域が解除される。

 解除対象は1月末現在、居住制限区域が5097人(1550世帯)、避難指示解除準備区域が762人(203世帯)の合わせて5859人(1753世帯)で帰還困難区域の長泥行政区(263人、75世帯)を除く村全体の約96%に当たる。

 村は昨年7月に役場機能を村内の本庁舎で再開させ、職員が住民の本格的な帰還に向け準備を進めている。村民触れ合いの場となる村交流センター「ふれ愛館」が8月に開館し、9月には村唯一の診療所「いいたてクリニック」が診療を再開した。

 避難指示解除後は宿泊体験館「きこり」が5月、宿泊業務を6年ぶりに再開する。復興拠点の深谷行政区に8月オープン予定の道の駅「までい館(仮称)」にはコンビニエンスストアや花卉(かき)の直売所を設ける。隣接した場所では花卉栽培施設と災害公営住宅の整備が始まる。今春に村内での営業再開を予定する飲食店もある。

 認定こども園と小中学校を飯舘中敷地内に集約した新学校は30年4月に開校する。村は特色ある授業を導入し、通学者確保を目指す。

 一方、水田などには約230万個に上る除染廃棄物の収納袋が山積みのままで、営農再開の妨げとなっている。環境省による除染は昨年までに終了したが、放射線に対して不安を抱く村民もおり、高線量地点の再除染を求める声が寄せられている。特別養護老人ホーム「いいたてホーム」の介護職員確保も課題となる。


■商業、医療 相次ぎ再開 富岡町(4月1日)

 富岡町では4月1日、避難指示解除準備、居住制限両区域が解除される。

 解除対象は2月1日現在、居住制限区域が8261人(3342世帯)、避難指示解除準備区域が1317人(488世帯)で計9578人(3830世帯)。全人口1万3560人(5454世帯)の約70%に当たる。帰還困難区域は3982人(1624世帯)。

 町は政府が解除日を4月1日とする案を示す以前から、平成29年4月の避難指示解除に向け、道路や上下水道の復旧、複合商業施設や町立診療所の開設準備を進めてきた。

 町は現在、郡山市内に置いている役場機能を、27日までに町内の庁舎に全面的に戻す。避難指示解除に合わせ、町内の国や県の各機関も順次業務を再開する。主要機能を楢葉町の臨時庁舎に移している双葉署は、30日から富岡町の本庁舎で本格的に業務を始める。

 住民の利便性向上につながる施設も開所する。町複合商業施設「さくらモールとみおか」が30日に全面オープンし、4月以降は医療機関が二カ所となる。金融機関の支店も避難指示解除前後に相次いで再開する。

 さらにロボットや廃炉などの新産業集積を目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の拠点施設も4月に新設される見込みで、新たな産業集積が期待される。

 ただ、宅地の除染後の空間放射線量(昨年12月末時点)は平均0・53マイクロシーベルトで、町民の放射線に対する不安は根強い。さらに、イノシシを中心とした野生動物への対策、防犯が課題となっている。


カテゴリー:震災から6年

運転再開に向け復旧が進むJR浪江駅

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