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「願い」歌に乗せて 門馬よし彦さん 37 ~浪江町~

古里への思いをメロディーに乗せて歌い続けている門馬さん

 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で浪江町請戸地区から福島市に避難したシンガー・ソングライターの門馬よし彦さんは、失意の中、震災発生の翌月に「NEGAI~願い~」を書き上げた。大きく傷ついた古里や大切な人を失った人への思いを込めた。ギター1本を抱えて県内各地の仮設住宅や復興を支援する行事などで歌声を披露している。

 ♪ひとりひとりが心をふるい立たせて 明日へと繋(つな)ごうと歩き出している-。
 「NEGAI~願い~」には古里の人たちや自分の復興への願いや希望を重ね合わせている。

■映画の主題歌に

 「願い」は、広島市の市民団体「まち物語制作委員会」が復興支援で製作したアニメ映画の主題歌に採用された。映画は震災、原発事故後の浪江町消防団の姿を描いている。今月18日に仏・リヨンで上映されることになった。16日に自分も海を渡り、現地で演奏する予定だ。
 震災から6年が過ぎて、海外では震災と原発事故のニュースは減り、福島の今の姿が正しく理解されていないのではないか。思いのたけを歌に乗せて伝えたい。
 この曲には特別な思い入れがある。ある避難所で歌った時だった。涙をにじませながら耳を澄ませていた来場者の一人の表情が次第に笑顔になっていった。きっとメロディーに乗せたメッセージを受け取ってもらえたのだろう。歌の力を真に実感した瞬間だった。

■変わらぬ憧憬

 請戸地区は震災の津波でありとあらゆるものが流されてしまった。さらに住民は原発事故で避難を余儀なくされた。自宅の窓を開け放つと青々とした海が目に飛び込んできた。自分の中での請戸の風景はあの日のまま。何も変わっていない。
 古里を失ったあまりの衝撃に人生の目標も歌も、何もかも見失いそうになった。その時に支えられたのも歌だった。
 被災地、被災者の思いを歌で表現したい-。時間の経過とは逆に、気持ちはますます強くなっている。これまでに足を運んだ県内外の避難所や復興行事は100カ所以上に上ぼる。
 11日には地元の仲間と請戸の海岸線で小さなライブを開く。きっとまた古里で暮らせる日がやって来る。そう願いながら奏でたい。

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