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帰還徐々に 生活環境が課題 避難指示解除1カ月

 東京電力福島第一原発事故による居住制限、避難指示解除準備の両区域が3月31日午前0時に浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区、4月1日午前0時に富岡町で解除されて1カ月を迎える。これまでに4町村合わせて400人以上が帰還し、大型連休中の引っ越しも多いとみられる。だが、住民からは生活環境のさらなる充実を求める声が上がる。
 「やっぱり自分の家が一番だ」。川俣町山木屋地区の自宅に戻った紺野正寿さん(80)は29日、居間でくつろぎながら感慨にふけった。
 約50年前に建てた自宅で再び、妻と長男の3人で生活するようになって1カ月がたつ。客や知人をリフォームしたわが家で迎え入れるのが楽しみの一つだ。
 30日には集落のお花見会が開かれる。「環境の整備が進み、若い世代を含めて多くの人が戻ってくれればうれしい」と期待している。
 浪江町は避難指示解除後、200~300人程度が帰還したと推測している。富岡町は町内で生活を再開した住民に「町内居住届出」の提出を求めている。これまでに提出したのは約120人だが、届け出ないまま居住している住民も少なくないとみている。
 川俣町は「避難終了届」などの提出状況から117人が山木屋地区に帰還したと推計。飯舘村は避難指示解除前の長期宿泊登録者数や広報誌の配布先などを踏まえ数百人とみている。
 浪江町の幹部は「今後、住宅修繕や新築の動きが活発化し、徐々に人口が増えるだろう」とみる。来年4月までには計165戸の町営災害公営住宅などが完成する予定で、今年度内に1000人程度の帰還を見込んでいる。
 富岡町では今月中旬以降、「町内居住届出」に関する問い合わせが増えており、大型連休中に引っ越しする町民もかなりいると分析している。
 生活環境の一層の充実が課題となっている。
 浪江町内ではJR常磐線浪江-小高駅間が運転を再開した。5月上旬にはタクシーの営業も始まる。一方で、生鮮食品を購入できる商業設備の再開、整備を求める声は多い。個人商店再開の動きはまだ鈍く、桑折町に避難している精肉店代表の川合陽一さん(69)は「個人商店は大手スーパーと違って利幅が少ない。(今の帰還状況だと)経営を再開しても続けられない」とハードルの高さを指摘する。
 浪江町は大型商業施設の再開も目指しているが、現時点でめどは立っていない。町の担当者は「再開支援の補助制度などを周知しながら、粘り強く交渉していくしかない」と決意する。
 高齢化率が3割以上の飯舘村では福祉の充実が課題だ。社会福祉法人いいたて福祉会が提供していたデイサービスは人手不足で今なお再開時期は未定のままだ。村内に一人で暮らす大谷孝さん(75)は「避難中の高齢者が安心して戻れる状態ではない。早く震災前のように近所の人たちが伝統行事や新年会で集まれるようになればいいが...」と願った。

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