東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

例大祭復活絆再び 飯舘・大雷神社で10年ぶり

東日本大震災後、初の大雷神社例大祭で行列を作り練り歩く住民

 東京電力福島第一原発事故でばらばらになった地域の絆を取り戻そうと10年ぶりの開催を目指してきた飯舘村飯樋地区の大雷(だいらい)神社の例大祭が3日開幕し、地域住民が豊作を願う伝統行事の復活を喜び合った。昨春の避難指示解除を機に総代を中心に準備を重ね、規模を縮小するなどして開催にこぎ着けた。参加者は3年ごとの祭りを継承し、地域再生につなげる決意を新たにした。
 昨年12月に改修を終えた社殿で伝統芸能の奉納が始まった午前8時半ごろから、境内がにぎやかになった。「元気だった?」「大きくなったね」。老若男女が笑顔を交わし、懐かしい祭りの雰囲気に胸を躍らせた。
 飯樋地区は村南西部の飯樋町、前田・八和木、大久保・外内(よそうち)、上飯樋の4行政区から成る。大雷神社は370年以上の歴史があるとされ、「田の神様」として住民に親しまれてきた。神事や神楽奉納を行う例祭は原発事故後も毎年催してきたが、みこし行列が2日間かけて地区全体を練り歩く例大祭は2011(平成23)年に中止されて以来、開催していなかった。
 2008年の前回まで、みこし行列の参加者は初日、地区内の民家に設けた「宿」に泊まり、2日目は宿から神社に向かって出発した。今回は住民の居住率が約13%(5月1日現在)となっている現状などを踏まえ、宿を設けず、2日間ともに神社を発着点とした。
 3日は氏子約120人が彩り豊かな山車やみこし、神馬などで行列を作り、飯樋地区西部の約5・8キロを約2時間かけて歩いた。笛を奏でた赤坂神楽団の星貴弘副団長(39)は「久しぶりで緊張したが、次第に"お祭り魂"に火が付いた。若い団員を増やし、伝承させたい」と誓った。
 例大祭には村外に新居を構えた住民も大勢駆け付けた。福島市の借り上げアパートに家族5人で暮らす会社員一刀まゆみさん(48)は「お祭りの開催をきっかけに、元気な地域に戻ってほしい」と願った。

■神社境内会場で飯樋4区復興祭
 例大祭最終日の4日は、正午に行列が大雷神社を出発し、飯樋地区東部の約6・6キロを行進する。
 神社境内の特設会場では3、4の両日、地元住民による飯樋四区復興祭が催されている。初日は吹奏楽、踊り、バンドなどのステージやカラオケ大会で盛り上がった。4日は阿波踊り、手踊り、舞踊が披露される。来場者に復興鍋(豚汁)、焼きそば、焼き鳥を振る舞う。時間は午前10時から正午まで。

■高橋総代長「涙が出そうだ」
 「涙が出そうだ」。総代長の高橋英明さん(70)は神鏡を手に行列に参加し、喜びをかみしめた。
 村内の英(はなぶさ)工務店で社長を務める。原発事故で妻、母親と福島市に避難した。一方で、総代8人をまとめる立場として例大祭を復活させる使命を常に感じていた。
 「避難指示解除を機に再び開催したい」。総代に相談すると、氏子が村外に離散した状況にもかかわらず「やるしかねえべ」と快諾してくれた。昨年から19人の世話人らと行列の人選などの準備を進めてきた。開催前日の2日早朝、神社周辺の清掃とテント設置に多くの住民が集まったのを見て、地域のまとまりの良さは相変わらずだと感じ、うれしくなった。
 総代長は例大祭ごとに代わる。「これで地域文化を次世代へ引き継げる」。表情は晴れやかだった。

カテゴリー:福島第一原発事故

神鏡を持ち、晴れやかな表情で行列に参加する高橋さん

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧