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第二原発全基廃炉へ 東電社長、知事に表明

内堀知事に福島第二原発の廃炉方針を伝える小早川社長(右)=14日午前、県庁

 東京電力の小早川智明社長は14日、内堀雅雄知事と県庁で会談し、東電福島第二原発1~4号機全てを廃炉にする方向で検討すると表明した。福島第一原発1~6号機と合わせ、県内の原発全10基が廃炉になる見通しとなった。ただ、廃炉の具体的な工程は示さなかった。多額の費用や作業員の確保、廃炉で出る放射性廃棄物の処分など実現に向けた課題は多い。

 内堀知事は小早川社長に対し東電として福島第二原発の廃炉を早急に判断するよう改めて要請。小早川社長は「このままあいまいな状況では復興の足かせになる。福島第二原発の全号機廃炉の方向で具体的な検討に入る」と言及した。内堀知事は、県庁で記者会見し小早川社長が福島第二原発の廃炉を検討すると表明したことに「県内原発全基廃炉に向けて重要なスタートになる」と語った。
 小早川社長は報道陣の取材に対し、原発事故から7年以上が経過した時点での福島第二原発の廃炉検討について「もう少し早くできたらと今から考えればあるが、これ以上延ばすべきではないと改めて感じた」と語った。具体的な廃炉工程に関しては「課題を一つずつ検討する。スケジュールなど具体的な検討はこれから」と明言しなかった。
 廃炉作業を始めるには、原子力規制委員会による廃炉計画の認可が必要。福島第二原発は東日本大震災で原子炉の冷却機能を失ったが、炉心溶融は免れた。廃炉の工程は他の原発と同様になりそうだ。通常は30年程度かけて原子炉などを撤去し、敷地を更地にする。
 東電は、運転開始から30年を超えている福島第二原発1~4号機の廃炉費用を計約2800億円と見込むが、国内で実際に廃炉を完了した原発はなく、増える可能性もある。原発事故の賠償や廃炉費用は約22兆円で、このうち約16兆円を負う東電にとって福島第二原発の廃炉は経営の重荷になりかねない。東電は、残る柏崎刈羽原発(新潟県)の6、7号機の再稼働や東通原発(青森県)の完成に注力して経営再建を図る。

■放射性廃棄物処分作業 人員の確保難航も
 廃炉作業では原子炉内の構造物や建屋のコンクリートなどの放射性廃棄物が発生するが処分先は決まっていない。福島第一原発では1日約5000人が作業しており、人員確保も難航する可能性がある。
    ◇  ◇
 福島第二原発を巡っては、県や県議会が廃炉にするよう再三にわたって要請してきた。県からの20回目の要請は今年1月5日、内堀知事が東電の川村隆会長、小早川社長に対して行った。内堀知事が廃炉を求めたのに対し、小早川社長は「大変重く受け止めている。社内で検討しており、可能な段階になったら改めて報告する」としていた。政府はこれまで最終的な判断は「東電が県民の声にしっかりと向き合いながら判断すべき」との見解を繰り返してきた。

■遅過ぎた判断 県民の信頼喪失に危機感
 東京電力がようやく福島第二原発の廃炉検討を表明した背景には、判断の先送りを続ければ原発事故対応に対する県民の信頼を一層失いかねないとの危機感があったとみられる。
 小早川智明社長は昨年6月の就任後、県や県議会、市町村などの関係者と会談を重ねたが、県内からは原発事故の完全収束と併せ、福島第二原発の廃炉を求める声が日に日に強さを増していた。県は原発事故後、東電に対し、20回を超える廃炉要請を繰り返してきた。県議会も県内原発の全基廃炉に関する意見書を4度可決するなど福島第二原発廃炉は「県民の総意」となっていた。
 東電は原発事故後、「福島の復興なくして、東電の改革、再生はあり得ない」として原発事故対応や県内復興に取り組んできた。ただ、県内原発の全基廃炉の実現に向けた明確な動きを示さなければ、県民の理解は得られないと判断したもようだ。東電関係者は「小早川社長が地元の廃炉を求める強い声に押される形で表明に至った」との見方を示した。
 東電は現時点で福島第二原発の廃炉を正式決定しておらず、作業の工程も示していない。県民から真に信頼を得て県内原発の全基廃炉を実現するには、東電が1日も早く廃炉を正式に決め、今後の道筋を明示する必要がある。(本社報道部・佐藤庄太)

カテゴリー:福島第一原発事故

東京電力が全基廃炉の方針を示した福島第二原発=2月撮影

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