ふくしま復興大使・ふくしまからのメッセージ

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古里再生交流記 北海道 野外劇で函館に誇り

五稜郭の中に設けられた舞台でアイヌの踊りを演じる市民

 福島民報社の平成28年度「ふくしま復興大使」派遣事業で、北海道班の3人は11日から3日間、函館市で活動した。NPO法人市民創作「函館野外劇」の会などを訪ね、地域再生の取り組みに理解を深めた。

■住民の力強さ演じる

 「函館野外劇」の会は国特別史跡の五稜郭に舞台を設け、昭和63年夏に第1回公演を行った。以来、毎回ボランティアの市民ら約500人が関わり、アイヌの暮らし、江戸時代の商人・高田屋嘉兵衛の活躍、土方歳三が命を落とした箱館戦争、大火のたびに立ち直る住民の力強さなどをダイナミックに演じ続けている。
 昭和60年代初めに造船不況や漁業不振などで函館経済が低迷したのをきっかけに旗揚げした。危機感を募らせた関係者は地域の実力者でフランス人のフィリップ・グロード神父に相談。神父は「古里で親しまれている野外劇を函館で演じたらどうか」と助言し、関係者は地域再生の目標に向かって動きだした。
 五稜郭の使用許可、資金の調達、出演者の募集など当初から困難の連続だった。平成24年12月にグロード神父が亡くなり、その2年後には舞台の石垣の一部が崩れた。しかし、関係者は一丸となって難題を一つ一つ克服。今では夏の恒例行事として定着し、来年は30回目を迎える。一層の収益向上を目指し、現在はインターネットで支援者を募るクラウドファンディングに初めて取り組んでいる。
 野外劇は観光誘客だけでなく、文化芸術の振興、子どもの健全育成、まちづくりの推進も目的としている。サントリー地域文化賞や国土交通省の手づくり郷土賞などを受賞し、地元小学生の社会科副読本に取り上げられている。
 寺の住職で法人理事を務め、弁士としても出演する住山省悟さん(66)は「市民は野外劇を通して函館の歴史を知り、誇りを持てるようになった」と振り返る。事務局長の里見泰彦さん(73)は「世代継承などの課題はあるが、地域を元気にする活動の意義は大きい」と強調している。

■歴史の香り漂う洋館 旧函館区公会堂を訪問

 北海道新幹線が開業し、歴史ある観光地としての関心が高まる函館市。貴重な建造物が数多く残り、復興大使は函館山近くにある旧函館区公会堂を訪れた。
 旧函館区公会堂は明治43(1910)年に完成した洋風の建物で、翌年には皇太子(後の大正天皇)の宿舎となった。木造2階建ての本館と平屋の付属棟はともに国の重要文化財。本館2階の大広間はコンサートホールとして市民に利用されている。2階のバルコニーからは近所の教会や函館港などを望める。
 連日、多くの観光客が訪れており、復興大使もさまざまな部屋を見て回った。貴重な椅子にも腰掛け、明治の雰囲気を味わった。

■福島に伝えたいこと 復興には住民の力結集して
 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会理事 住山省悟さん 66

 函館は何度も大火に見舞われたが、そのたびに住民は街を再興してきた。民間活力で成り立っている街といえる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの福島県の復興には官の力も必要だが、そこに住む多くの人の力を結集するのが一番。福島の皆さんでなければできないことを繰り返し内外に発信してほしい。

■訪問活動を終えて(敬称略)

【矢吹町】菊地鈴音 13 矢吹中2年 心一つにした劇 素晴らしい
 幅広い年齢層の市民が野外劇で心を一つにしているのは素晴らしいと感じた。「何があっても一生懸命に取り組めば結果が出てくる」とアドバイスをもらった。福島県民だからこそできることに挑戦したい。

【白河市】山浦翼萌 17 学法石川高2年 一丸になれる取り組み必要
 1人の力は小さいが、何人も集まれば大きな活動ができると感じた。野外劇を継続している市民の力はすごい。福島でも、震災からの復興のため地域や県民が一丸となれるものに取り組み、発信していく必要がある。

【会津美里町】桜井真柚 20 今泉女子専門学校3年 熱意と歴史への思い学んだ
 高校時代に演劇部員だったため、野外劇の苦労を身に染みて感じた。困難に負けずに続けている函館の人々の熱い思い、歴史を大切にする素晴らしさを学んだ。見習った根気強さを福島で発揮していきたい。

カテゴリー:ふくしま復興大使国内派遣

里見さん(左)から野外劇の説明を受ける復興大使の(右から)桜井さん、山浦さん、菊地さん

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