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ことばの部屋(78) 大阪の方言みやげ-その2- ユーモアあふれる品々

 新大阪駅のみやげもの売り場に大阪弁グッズのコーナーがあった。どんなグッズがあり、どんな大阪弁が書いてあるのか、一つ一つ手に取って観察した。ハンカチ、パスケース、ボールペン、シャープペンシル、消しゴム、クリアファイル、付箋、マグネットなどの文房具から、キーホルダー、缶バッジ、トランプ、爪切り、ライター、手鏡、サングラス、扇子、バッグなど、見ているだけでも楽しくなる方言グッズがたくさんあった。

 その中で、ひときわ目立っていたのは、赤ちゃんのよだれかけやTシャツ、靴下、ボクサーパンツなどの身に着けるものだ。よだれかけは男女用があり、男の子用には「イケメンやねん!」「おれ最強やねん!」、女の子用には「アイドルやねん」「うち最強やねん」と書いてある。Tシャツにも同じように書いてあるが、「オレ変態やねん!!」「金ないねんて」と人前で着るのには勇気が要るようなものもある。靴下は品数が豊富で、数えてみると大阪弁は27種類もあった。ひも付きのスニーカーそっくりの靴下には「くつちゃうねん!!」「くつしたやねん!!」と書いてある。親のたこが子どものたこ焼きをこちょこちょしていると、子どものたこ焼きがくすぐったい顔で「こしょばさんといてぇ~!」(くすぐらないで)と叫んでいるものや、子どものたこ焼きが「くっさ」(臭い)と嫌な顔をしていると、親のたこが「くさないわ!」(臭くないわ)と怒っているものなど、思わず笑ってしまうものばかりだ。ほかにも、「かゆいっちゅうねん!」「かゆないわ!!」「水虫やねん!!」「水虫ちゃうねん!」など、靴下ならではのジョークが大阪弁で書いてある。ボクサーパンツも靴下と同じで肌に直接着けるものだ。「ほんまに、くっさ!」「くさないわ!」など、靴下と同じようなものから、「蹴るの禁止やで!!」「アツアツやねん!」「どやねん」など、ユーモアたっぷりの大阪弁が書いてある。

 楽しく大阪弁グッズを観察していたが、ふと気づいたことがある。一般に方言グッズには何らかの形で共通語訳が付いているのだが、大阪弁グッズには、ほとんど付いていないのだ。共通語訳がなくても意味がわかるからだろう。大阪弁は全国的によく知られているのである。
(福島市、日本語学会会員・小林初夫)

■経歴
 こばやし・はつお 相馬郡小高町(現・南相馬市)生まれ。NHK方言監修者。宮城教育大学非常勤講師。福島県警察本部指定教養講師。著書(共著)に『全国方言一覧辞典』(学研)、『都道府県別全国方言辞典』(三省堂)、『調べてみよう暮らしのことば』(ゆまに書房)など。

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