特集 2018

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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(1)6次産業化の意味 加工、流通を複合化

 毎月福島に通う生活が始まってもう3年になります。吾妻山の雪うさぎを背に花咲き乱れる福島の春、会津の紅葉、雪をかぶった飯豊連峰の雄大さに魅せられながら、県内で特に農業関連の案件に関わってきました。全国の農業改革の実情を多少なりとも知る立場として、小欄を通じて農が生み出す地域振興の可能性を紹介し、今後の農業の在り方について読者の皆さんと考えていきたいと思います。農業関係者をはじめ、各産業に携わる県民の取り組みのヒントになれば幸いです。

 最初に、農業の六次産業化について取り上げます。この言葉は2009(平成21)年に東京大名誉教授である今村奈良臣(ならおみ)氏が提唱した造語です。第一次産業である農業者が農畜産物・水産物の生産だけでなく、食品加工(第二次産業)、流通、販売(第三次産業)にも主体的かつ総合的に関わることによって、加工賃や流通マージンなど第二次・第三次産業の事業者が今まで得ていた付加価値を農業者自身が得ることで農業を活性化させようという取り組みです。

 六次という意味は、各産業を単なる寄せ集め(足し算)するのではなく、有機的・総合的結合を図る意味として掛け算であると提唱されています。ブランド化などを通じて付加価値をつけるという点では、1・5次化とも取れますが、加工や流通を複合化させるという視点が大きな違いです。農村の活性化や農業経営の多角化を語るときのキーワードともなっています。

 この六次産業化という言葉は国の法律や政策の中だけでなく、農林水産省や各県の農政関連のホームページにも登場しますが、多くの皆さんにはあまりイメージが湧かないかもしれません。次回から現状や課題について考えていきます。


 杉浦 宣彦(すぎうら のぶひこ)愛知県出身、中央大法学部卒。中央大大学院法学研究科博士後期課程修了(法学博士)。金融庁研究官、JPモルガン証券シニアリーガルアドバイザーなどを経て現在、中央大大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授、日本資金決済業協会特別理事、銀嶺食品特別顧問、福島大農学支援基金募金会参与。これまでJAグループの自己改革のための有識者会議座長、営農経済事業と生産者組織のあり方に関する研究会座長を務め、新しい6次化モデルを含めた農協改革をテーマに全国のJAで講演している。51歳。

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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