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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(2)進まない6次産業化 産業間の連携乏しく

 日本の農業の6次産業化は多くの施策が取られているにもかかわらず、成功事例と言われるものが少なく、掛け声ばかりが目立ちます。なぜこんなことになってしまっているのでしょう。

 これは、6次産業化という考え方が農のサイド以外にはあまり広がらず、六次産業化の事例のほとんどがJAの直売場の増設、JAや農家が主体になって作るお土産品的な農産物加工の段階にとどまっていることにあります。つまり、農だけが頑張っているだけで第二次産業や第三次産業と有機的に結び付いていないのです。

 漁業も含め、多くの場合、第一次産業側が第二次産業に特注の形で加工を委託し(委託先が時には県外だったりする)、地元で販売するという状況であり、これでは量も限られ、コストがかさむばかりです。特産地の加工品を買うと思ったより高い商品だったりすることがありますが、まさにこれが理由です。

 別の背景もあります。スーパーなどに行くと海外ではとても見られないレベルの形も含めてきれいな農作物が並んでいますが、日本では味に加えて「見掛け」やサイズにこだわった、規格に沿った農作物出荷に重点が置かれ、きれいに運ぶための段ボール技術や鮮度の保存技術も発展してきた経緯があります。つまり、生での状態が重視されてきました。

 JAや卸売市場が間に入り、農作物の出荷を進めることが多い中、最近では農家やJAと消費地との直接契約による産地直送も相当量になりましたが、いずれも現物出荷です。実に日本の農産物の70%以上が最終的には加工品の形で店頭に並んでいる現状の中、第二次・第三次産業と農業との間には加工のニーズを巡る情報交換などのインターフェース(回路)はまだ脆弱(ぜいじゃく)だと言えます。ここ数年の農業改革の流れの中でさまざまなマッチングの機会も出てきていますが、六次産業化はまだまだこれからという状況なのです。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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