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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(3)福島の6次化の現状 市場を意識し開発を

 前にも書きましたが、6次産業化(6次化)が相乗効果をうたう掛け算的な考え方である以上、まさに等倍にしかならない「1」である第一次産業だけの頑張りでは、地域の特産物を生かしたお土産物作りのレベルをなかなか超えることはできません。これは残念ながら全国的な傾向となっています。

 福島県内の六次化への取り組みは全国レベルで比較しても進んでおり、それはふくしま地域産業6次化推進協議会事務局で運営している「ふくしま六次化情報STATION」のホームページなどで確認することができますが、そこでは地域・市町村単位を含めて相当数の取り組みがこれまでなされ、さまざまな商品開発が行われているのが分かります。

 また、福島大などとの連携による地域資源の活用やブランド化といったテーマを織り込んだ教育講座も開催されており、単に6次化の考え方を広めるだけでなく、東日本大震災からの復興という目的も重ねながら多くの施策が実行されているのがこれまでの福島県内での6次化の特徴と言えるでしょう。

 しかし、多くの方々の努力にもかかわらず、成功と言える規模の6次化は少ない印象があります。個々を調べてみると、6次化商品として出されている物の多くは原材料こそ福島産を使っているものの、出荷量が少なく、加工施設が県外の場合も相当数あります。県内各産業の有機的なつながりも十分でないため、一般的にコスト高になり、価格設定が高くなる傾向にあることに気が付きます。また、どの市場をターゲットに作ったのか、分かりにくい商品も多くあるように思います。福島県に限らず、東北では震災以降、第二次産業の規模縮小や撤退なども多かったですから、有機的なつながりを作りようにも...という状況があったかもしれません。

 しかし、このままではいけません。次回以降は福島県内の新しい6次化を目指す動きや新たな手法、考え方などにも触れていきたいと思います。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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