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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(6)人的要素で範囲狭く 6次産業化の接点

 前回ご紹介した6次産業化の「福島モデル」が実は、人的つながりがきっかけだったという話を書かせていただきました。

 実際、全国各地で6次化の話を聞くと、大概は誰と誰が元々知り合いでということから始まるストーリーが多く、マッチング作業が市町村レベルの比較的狭い範囲で行われていることに気付かされます。また、それが、全国的に見ても6次化の話が地域内の協力という意味で地域再生の話とリンクして語られることも多い理由なのでしょう。

 しかし、それでは狭い経済規模だけで終わってしまい、本当の再生にはなかなかつながらないのではないでしょうか。首都圏をはじめとした大消費地への販売も考えていかないと、12分な経済効果は生まれません。

 ではどのようにしてそういった販売地を探すのか、また、どんなニーズが消費地に存在するかを知ることができるのでしょうか。これはいわゆる仲買、仲介役がどのような形で入り込んでいるかでもありますが、戦後長く続いた食糧管理法の時代ではJAグループの商社機能を担っている全農がその役割を果たしていましたが、自由化とともに、JAを経由した農産物の流通比率は下降傾向にあり、さまざまな業者を通じて現在では大手スーパーなどでは直接農家と契約する契約栽培も定着してきています。

 しかし、半面、産地と消費地をどのように結び付けるのかという部分については、以前から人的なつながりに負う部分が多く、地方レベルに限らず、全国レベルでも同様な状況です。消費者がどのようなものを望んでいるのか、どのような加工を行う必要があるのかなどの消費地側のニーズを集めたデータベースと何をその土地で生産し、産地でどこまで一次加工できるのかという情報が結び付ける手段があまりないこの状況では、第一次、第二次産業さらには第三次産業の結び付きのきっかけがなかなかつくれず、利益を生み出せるだけの量を伴った6次化実現への障害となっているといえるでしょう。

 ではそのようなネットワークをどのように築けばよいのか次回以降考えてみたいと思います。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)=「農が生み出す地域振興」は4月から「ふくしまは負けない 明日へ」の産業創生のページに移ります。

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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