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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(7)6次化にICT活用

 前回まで、第1次、第2次産業に第3次産業が結び付くきっかけがなかなかつかめないことが6次産業化の障害になっていると指摘しました。
 毎年のように大きな災害が発生しますが、企業などが契約栽培をしている田畑が被害に遭う場合があります。隣接する県や市町村で豊作に近い状態だったとしても、2次、3次産業の企業はすぐに輸入に頼ってしまう事例が散見されます。これは他の栽培地の状況に関する情報が少ないためです。
 このような事態を改善するため、1次、2次産業に3次産業までを結び付け、農家や地域が生産している農産物、在庫として持っている農産物、自分が欲しい農作物のそれぞれがどこに、どのぐらいあるのかを知りたい、直接に生産者側と交渉したい、と考えている企業との仲介役となるようなシステムの開発が数年前から大手ITベンダー(ITのソフトウェアやサービスなどを販売する企業)などで始まっています。
 茨城県では、この仕組みを使って同県内の複数のJAで実証実験が今年から始まる見込みです。情報通信技術(ICT)を生かしたシステムで、インターネットを介して全国へ情報を広げられる形になっています。当面は実証実験の間に、知りたい・見たい、農産物や生育関係、消費地のニーズに関する情報がどのようなものかなどを調査・検証し、システムの精度を向上させていく予定です。この実験結果や様子は適宜この連載で紹介したいと思います。
 さらに、このシステムは仮に6次化が進んだ場合でも、近年多くの消費者が注目している、原材料となる農作物がどこで採れ、どのように加工され、さらにどのように製品化されて店頭に並ぶのかというトレーサビリティ(見える化)にも対応できる形になっています。生産者がスマホを使って生育状況を映したものを、消費者側がホームページやアプリを経由して確認できるところまで考えられています。消費者の本物志向の高まりとともに、産地や栄養分などの表示は消費者にとって重要な選択ポイントとなっており、その要望に応えたものになっています。
 ここまで6次化を中心に扱いましたが、次回以降、改めて地域再生と農業との関連性について考えていきます。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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