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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(8) 地域振興のための「農」 幸福感いかに高める

 6次産業化することで、農産物流通の現状を変え、農産物の販売、加工品強化をどのように効率よく行うかを前回までに考えてきました。そのためには地域農業を強化し、地域のほかの産業への活性化へどのようにつなげていくか、またそのために地域に住む人々に農業に関心を持ってもらうのが大事です。
 しかし、ここ福島でも、多くの農業振興の施策が取られているものの、農業人口の減少とともに、地元の農業に関心を持っている県民の方々の数は減少傾向にあるのは事実でしょう。
 しかし、県民そしてさらに日本国民全体は本当に農業への関心を失いつつあるのでしょうか?。また、どのように農業をみているのでしょうか?。
 このコラムを書きながらいくつもの調査・文献に当たる中、最近、面白い研究成果を見つけました。それは、平成28年に発表された農業水産政策研究所の「農業・農村の新たな機能・価値の評価手法開発」という研究です。これは全国の消費者調査データを用いて「農」と「幸せ」との関係をみるユニークな研究ですが、それによると農業を身近に感じている人や食生活と農業の距離を近く感じている人ほど、幸福度が高いという結果が出ています。
 心理的な側面も含めて「農」と「消費者」の距離感をどう埋めていくか。食の満足度を上げることで、消費者の幸福感を高め、そして「農」への支持を高めていくかが重要ということを示唆していると考えられます。
 特に福島県では原発事故による影響で、県内産の農作物の安全性等が問われたために、県内でも一時期、「農」と「消費者」との間に距離が生まれ、いまだにその距離感を埋め切れずにいるように思います。上記の研究結果を参考にするなら、まず、農業は単に生産業の一つというだけでなく、農業の活性化を通じて、人々の生活満足度を高めていく基盤としていくという発想に転換し、県民のみなさんの農業への関心を再度向上させるための施策を考える必要があるでしょう。
 また、よく現場で聞かれる「農業はもうからない」、「やっていくのは大変」という、およそ幸福度的には逆に考えられる声を変えていかなければいけません。そのためにも活性化につながる「儲かる農業」をどう確立するか、その手法を検討していく必要があります。
 次回からは地域農業の活性化のために何が考えられるか検討していきます。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)=次回は5月2日に掲載=

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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