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杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(16) 福島の農業 海外貢献 物流方式も世界発信

 福島市の銀嶺食品やJAふくしま未来を中心としたチームは、インドネシアの東ジャワ州バトゥ市で農業の生産技術や農産物の流通システムの改革を指導するプログラム調査を行っています。

 インドネシアというと、首都ジャカルタや観光地であるバリ島を思い浮かべる人が多いかと思いますが、バトゥ市はジャワ島の東にある高原都市で、最近は観光に力を入れており、インドネシア第三位の観光客を集めています。ただ、主要産業は農業で、ジャガイモや花、ニンジンなどの産地として知られています。これだけだと、福島との関連性がなかなか見い出せないですが、この都市にはもう一つの名産物があります。それがオランダ植民地時代にもたらされたリンゴです。

 このプログラムでは、福島が持つ農業技術を使って、特産物のリンゴをはじめ、そのほかの農産物の栽培技術を上げます。所得の増大とともに、現地では物の質に対しても目が肥えている上流や中間所得者層が増えています。こうした人たちにも受け入れてもらえるレベルにし、比較的近くにあるインドネシア第二位の都市スラバヤや、首都ジャカルタの大手流通業者に、コンスタントに受け入れてもらえるものにしていくことが一つの目標となっています。

 しかし、リンゴに関して言うと、かなり時間がかかりそうです。実際、プロジェクトのチーフアドバイザーとして何度か足を運びましたが、一年中同じ気候なので、高原とはいえ、年に四回もリンゴを収穫し、それも摘果などせず、幾つも小さなリンゴがひしめき合っている感じで、最初は変な色のグレープフルーツかと思ったほどです。当然、酸味はあっても甘みはないのがほとんどで、形もバラバラ。しかも、それをパーム油で揚げてパックに入れてアップルチップとして売っているという状況です。

 多くのインドネシアの人々が日本に観光に来るような時代になった今、ジャカルタでも本物のリンゴを求めて、日本と品質的に近いリンゴへの需要が伸びてきているようで、このままでは、インドネシアの従来型のリンゴは生き残れなくなるでしょう。技術的に乗り越えなくてはいけない壁は幾つもありますが、まず、現地の自治体や農家が市場の現実を知り、意識を変えていくことからスタートしなくてはと考えているところです。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)

カテゴリー:2018 杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興

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