杉浦宣彦氏の農が生み出す地域振興(28) 農業のイメージ戦略 「経営」の観点導入を

2019/03/11 22:53

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 自己改革の流れの中で、もう一つJAがやらなくてはいけないことは、組織的イメージアップでしょう。

 関係者の方は認めたくない事実かもしれませんが、JAと普段関係を持たない一般の方々は、JAと政治との関係を必ずイメージするでしょう。制度としてはJAは経済団体であり、政治団体ではないのですから、このイメージは間違っているのですが、現在も選挙のたびごとに組織として、また地域の有力者としての農家も特定の候補者の応援はしますからそのようなイメージがあること自体、無理からぬところがあります。

 しかし、首都圏辺りもそうなのですが、農業で生活できるというイメージが一般に湧きにくい状況にあることがむしろ憂慮すべきです。市場に農産物価格が大きく左右される関係でなかなか、他産業のような採算ラインの考え方をそのまま適用した農業経営というのは難しいのですが、経営的な観点で農業を行っている自立した農家も増えてきており、そのノウハウも徐々に出版化されるようになってきました。農業で生活ができ、利益を上げられる仕組み作りを確立し、広めていくことが特に新たな就農者が必要なJAや福島全体の農業にとって有益なはずです。

 また、この春、いよいよ、福島大の食農学類が開学します。県内の農業高校も含め、ぜひ、旧態依然の農学ではなく、農産物生産だけでなく、加工、流通マーケティングも含めた、「稼げる農業」のビジネスモデルの研究や知識を学生たちに教える実践的なプログラムを強化してほしい。教育面でのパラダイム転換を通じて、農業のイメージ転換を行い、多く就農者を生み出す発信源となることを期待したいと思います。

 しかし、これまで「福島モデル」を地場企業やJAと実践してきた立場から見ると、フードビジネスとしての農業をこの福島で実践するのには幾つもの壁があることが分かってきています。

 食品加工を県内で行おうとすると、加工業者の数や余力が多くありません、さらには、単一原料だけでは加工品は作れないわけで、日持ちするようなものを作るために原材料を集めると、相当な部分が県外産頼りという状況になってしまいます。全国的に同様な問題は指摘されており、福島のケースでは、現状では、隣県の企業等との協力関係をどのように構築するか考え始めているところです。(中央大大学院戦略経営研究科教授・杉浦宣彦)