廃炉の監視態勢を強化 福島県、独自に中性子線観測 第一原発敷地外

2019/04/04 08:02

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 県は二〇一九年度、東京電力福島第一原発の廃炉作業に伴う溶融燃料(デブリ)取り出しの本格化で変動する可能性がある放射線の監視態勢を強化する。再臨界が起きた際に出る中性子線を迅速に察知するため、検出器を原発敷地外の三カ所に設置する。原発敷地内で中性子線を測定している東電とは別に、県は独自に二十四時間の観測態勢を整え、安全性を客観的に把握し、正確な情報を県民へ伝える方針だ。

 中性子検出器は東電福島第一原発から約三十キロ離れた南相馬市原町区萱浜にある県環境放射線センターに一台置き、今月中に運用を始める。年度内に、第一原発に近い大熊町夫沢地区と、約二キロ離れた同町大野地区にそれぞれ一台を配備する。

 中性子線の計測は核分裂の連鎖反応が拡大する臨界状態の判断の一つ。これまで東電が実施している原発敷地内の中性子線測定では二〇一一(平成二十三)年三月十六日以降、検出されていない。ただ、東電が二〇二一年開始を目指すデブリ取り出しは、世界に例のない困難な作業となる。県は安全で安心して生活できる環境を確保するため、独自の監視体制を整える必要があると判断した。

 県公式ホームページで中性子線の測定データを公表する。三カ所の中性子検出器の稼働後にデータを取りまとめ、二〇二〇年四月からの公開を予定している。今後の廃炉作業で数値の異常を把握した場合、県民への避難指示など適切な初動対応に役立てる。

 県は東電福島第一原発の半径十キロ圏内に中性子検出器を重点配備したい考えで、中性子がどの方向に飛んでも把握できるよう原子力規制庁から適切な観測点などに関する指導を受けて増設を目指す。


■土壌調査検出項目ウラン追加

 県は原発敷地周辺で実施している土壌調査の検出項目に核燃料由来のウランを追加する。東電福島第一原発の半径十キロ圏内の複数カ所で年一回程度の試料採取と分析を実施する方向で検討している。今後のデブリの取り出し作業で、ウランやプルトニウムなどの核燃料由来の放射性物質がダストとして周辺に飛散していないかどうか確認する。

 県放射線監視室は「廃炉作業の安全性をしっかりと監視し、県民の安心を確保する」としている。

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 原子力規制委員会は県内各地に約三千台のモニタリングポストを設置し、ガンマ線を測定している。

 二〇二〇年度までに避難区域が設定された十二市町村以外の約二千四百台を撤去する方針だが、二〇一九年度は観測を継続するとして政府の当初予算に維持費六億二千三百万円を計上した。東電は福島第一原発1~3号機の原子炉格納容器内で臨界状態の判断となるキセノンの発生の有無を常時観測している。