高級・酒造好適の新米 福島県開発、本格栽培へ

2019/06/11 08:38

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 県が開発を進めていたオリジナル高級米が二〇二一(令和三)年から、高品質な酒造好適米が二〇二〇年から本格栽培される。高級米は大粒で食味に優れる。県は最上級銘柄として全国に売り込み、県産米全体の評価向上につなげる。酒造好適米は雑味が少なく、香り高い日本酒に仕上がる。県産酒は全国新酒鑑評会などで高い評価を受けているが、県産素材100%で醸造し、魅力をさらに高める。内堀雅雄知事が十日、定例記者会見で発表した。


 高級米と酒造好適米の本格栽培に向けた工程は【表】の通り。県は新品種の市場投入により、東京電力福島第一原発事故の影響で低下したブランド力の向上を目指す方針だ。

 高級米は粒が大きくて甘みと香りが強く、もっちりとして粘り気がある食感が特徴の「福島40号」を採用した。県によると、食味が良く、稲が倒れにくく病気に強いため育てやすいという。農産物の第三者安全認証「GAP」の取得や、肥料や農薬の量、植え方などを定めた栽培マニュアルの順守などを要件とする生産者登録制度を導入し、生産・流通量を管理する。各地にJAや集荷業者、生産者らでつくる研究会を組織し、均質なコメづくりに向けた研修などを重ねる。

 生産者登録は二〇二〇年度に開始する。二〇二一年度春から本格的に栽培し、同年秋の本格販売開始を予定している。県は品質を追求した希少性の高いコメとして首都圏や関西圏などの百貨店、高級スーパー、高級和食店などに売り込む。販売価格は二キロ九百円前後で市販されているコシヒカリを上回る同千円超を目指している。

 酒造好適米は「福島酒50号」を採用した。県オリジナル品種「夢の香」や、県内で多く栽培されている「五百万石」に比べ病気や冷害に強く、稲が倒れにくい。吟醸酒に使われるコメの中心部「心白」の割合が多く、雑味が少なく香り高い酒に仕上がる。

 県によると、兵庫県が主産地の最高級酒造好適米「山田錦」に匹敵する味わいに仕上がるという。現在、県内で醸造される大吟醸酒などには主に山田錦が使用されている。県内蔵元からは山田錦と競える品質の県オリジナル酒造好適米の開発を求める声が出ていた。

 県は二〇一七(平成二十九)、二〇一八両年度に県内延べ十一蔵元で試験醸造を行い、「福島酒50号」を用いた日本酒の品質の高さを確認。二〇一九年度は十ヘクタール分を栽培しており、冬に二十一蔵元で先行醸造する。二〇二〇年春に酵母も含めて県産素材のみを使った新酒を披露するとともに、本格栽培を始める。

 県は十日までに「福島40号」と「福島酒50号」を奨励品種に指定した。いずれも品種名は夏に公募して決める。

 内堀知事は定例記者会見で「生産量を限定し、高級感を持った品種として戦略的に売り出していきたい」と述べた。