学び 生きがい寿命延伸 健幸を求めて

2019/06/15 08:32

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桜の聖母短大で授業を受けている三上さん。「新たな発想や価値観を知れる」と学びの効果を語る
桜の聖母短大で授業を受けている三上さん。「新たな発想や価値観を知れる」と学びの効果を語る

 福島市にある桜の聖母短大。女子学生に囲まれながら、年配の男性が最前列の席に座ってうなずき、時折ノートにペンを走らせている。宮城県利府町から通う三上悟さん(65)が学んでいるのは「現代の国際関係」の授業だ。

 同短大は二〇一八(平成三十)年度から「履修証明プログラム」制度を導入し、社会人に学びの場を提供している。学生向けの授業と一般向けの公開講座から好きな分野、科目を受けられる。

 同短大生涯学習センター長を務め、長年、短大の生涯学習講座の運営に携わってきた三瓶千香子キャリア教育学科准教授(45)は、これまでの経験を踏まえて「学びは生きがいとなり、健康寿命を延伸させる」と強調する。

 秋田県出身の三上さんは東北大を卒業後、宮城県内の総合建設業社に就職。働きづめの毎日だったが、六十歳を過ぎて「俺の人生って何だったのか」との思いにかられた。退職後、短大の制度を知って申し込んだ。

 「授業内容はだいたい分かる。でも、問題の切り口が自分とは違うので刺激になるんだ」。休み時間には近くの席の女子学生から進路の相談を受け、若い世代の価値観を知る。「さまざまな面で自分とは違う発想を持っていて、新鮮に感じることも多い。凝り固まった頭が柔らかくなっていくようだ」。学びは三上さんにとって生きがいの一つになっている。

 生きがいと健康が関連していることを示すデータがある。内閣府が全国の五十五歳以上の男女三千人にアンケート調査を実施したところ、健康状態が「良い」とした人のうち、生きがいを持っているのは94・0%に上った。一方、「良くない」とした人のうち、生きがいを持っているのは44・3%にとどまった。

 学びには知能を維持する効能もある。国立長寿医療研究センターによると、長年の経験や学習による言語能力や洞察力は、好奇心を持って新たな経験をすることで保つことができる。これにより、新しい環境を受け入れるための能力や、直感力の低下を補うことができるという。

 「履修証明プログラム」は全国の国公立大や短大でさまざまな形で実施されているが、県内の大学・短大では桜の聖母短大のみとなっている。三瓶准教授は「人生百年時代といわれる中で、学びはますます重要になる。より多くの人に健康を維持する上での学びの大切さを伝えていきたい」と語る。