【第二原発廃炉】「スピード感」を問う(6月18日)

2019/06/18 09:27

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 東京電力の小早川智明社長が福島第二原発の廃炉を巡って繰り返す「スピード感」とは一体、何を意味するのだろうか。

 第二原発の四基全てを廃炉にする方針を表明してから一年が経過した。復興に向け重要との認識の下、小早川社長はスピード感を持って検討すると、さまざまな場面で述べているにもかかわらず、いまだに正式決定していない。決定の時期すら示さず、東電の本気度が問われる。

 小早川社長は内堀雅雄知事に対して二〇一八(平成三十)年六月、「このまま、あいまいな状況では復興の足かせになる」と廃炉に言及した。社長直轄の組織を翌月に設けて以降、正式決定に向けた課題や対応策などの検討を進めている。

 しかし、東電は「廃炉作業に従事する人員の確保、原子炉建屋の解体などで発生する放射性廃棄物の一時保管や最終処分の在り方など、多くの課題の整理に時間がかかる。廃炉の手順や工程表を固める必要もある」と説明する。

 福島第一原発では、一日約四千人が廃炉作業に当たっている。事故で溶け落ちた核燃料処理などの難題も抱える。廃炉工程は1、2号機の使用済み核燃料の取り出しを二〇二三(令和五)年度をめどに開始するところまでしか定まっていない。

 第一原発を最優先し、安全で着実に廃炉に取り組む必要があるのは言うまでもない。第二原発への作業員の割り振りや廃炉工程の組み立てを並行して進めるのが困難ならば、廃炉への姿勢をまずは明確にするべきだ。県や県議会、県内の市町村が最低限求めているのも、方針という今なお、あいまいな状態に、早く決着をつけることに尽きる。

 安倍晋三首相は、今年三月の福島民報社のインタビューに応え、「東電が事業者として福島第二原発の廃炉を早期に決定し、長期にわたる廃炉作業を完遂するよう、強く促していく」と述べた。

 一方で、経団連の中西宏明会長は、原発に対する県民感情に理解を示しつつ、廃炉が決定されていないことについて「コメントは難しい。第二原発は動かそうと思えば動かせる状態にはある」と発言している。

 日本のエネルギー基本計画は依然、原発を基盤電源に据えている。国内の経済界には、原発再稼働の必要性を説く声が根強くある。福島第二原発の廃炉決定が宙に浮いたままでは、県民の不信感は高まるばかりだ。政府は責任を持って東電を指導するよう改めて求める。(五十嵐稔)