第一原発トリチウム水 長期保管議論へ タンク増設検討

2019/08/04 08:05

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 東京電力福島第一原発で汚染水浄化後に残る放射性物質トリチウムを含む水の処分方法を議論する政府小委員会の山本一良委員長(名古屋学芸大副学長)は三日、第一原発を視察し、長期保管を前提とした議論を九日の次回会合で本格的に始める考えを明らかにした。長期保管を求める声に沿う姿勢を示す一方、トリチウム水を保管するタンクの設置可能量に限界があるため、恒久的な対応ではないとも指摘。最終的な処分方法を巡る議論を継続するとした。


 小委員会による第一原発の視察は二〇一七(平成二十九)年七月以来約二年ぶり。委員九人がトリチウム水を保管するタンクの増設エリアや、廃棄物の保管設備の建設予定地を巡った。

 山本氏は視察後、報道陣に対し「トリチウム水の貯蔵を考えなければならない」と構内での長期保管を実現する上での条件を整理する意向を示した。「いろいろな設備や保管場所が必要だ。兼ね合いを考えながらどうやって場所を空けていくか検討する」と述べ、タンク保管に充てられる土地の有無を精査するとした。

 一方、山本氏は「永久保管はできない。(廃炉完了で)このエリアがきれいになる時には水(トリチウム水)もなくしたい」とも述べ、将来的な処分方法を決める必要性に言及した。

 昨年八月に開いた公聴会では、出席者からトリチウム水の長期保管を求める意見が相次いだ。視察結果を踏まえ、九日の会合では東電が計画する百三十七万トンの容量を超えるタンクを敷地内に置けるかや、保管をどの程度の期間続けられるかなどが議題になるとみられる。

 トリチウム水の海洋放出に反対する県漁連の野崎哲会長は山本氏の見解に対し「漁業者の声を聞き入れ、陸上での長期保管を議論してもらえるのはありがたい」と評価した。その上で「最終的な処分方法としての海洋放出に反対する姿勢は変わらない」と語った。

 トリチウム水の処分を巡っては政府の作業部会が二〇一六年にまとめた報告書で地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設の五つの選択肢を示した。小委員会は報告を基に、昨年十二月までに十二回の会合を重ねてきた。


■処分法の判断不可避

 トリチウム水は国内外の原発で発生し、希釈後に海洋放出される場合が多い。原子力規制委の更田豊志委員長は海洋放出が「唯一の方法」としているが、県民の理解を得られていないのが現状だ。

 第一原発にはトリチウム水など処理水約百十五万トンが保管され、東電は来年末までにタンク容量を百三十七万トンに増やす。一日当たりの汚染水発生量が二〇一八年度並みの百七十トンで推移した場合、増設後のタンクも二〇二二(令和四)年内に満杯となる計算だ。長期保管する場合も最終的な処分方法を巡る議論は先送りできない。