第一原発トリチウム水 タンク2022年6月に限界 東電試算

2019/08/09 08:19

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

■政府小委 長期保管9日議論

 東京電力福島第一原発で発生する汚染水の浄化後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水を保管するタンクに関し、東電は早ければ二〇二二(令和四)年六月にも計画容量の上限となる約百三十七万トンに達するとの試算結果をまとめた。九日に開くトリチウム水の処分方法を検討する政府の小委員会の会合で示す。小委員会は、敷地不足を理由にタンク増設を困難とする東電の説明を検証するとともに、「長期保管」の議論を本格化させる。


■あと3年

 東電は現在、福島第一原発敷地内に設けたタンク約九百六十基に、汚染水から放射性セシウムなどを除去したストロンチウム処理水と、それを多核種除去設備(ALPS)で処理したトリチウム水合わせて約百十五万トンを保管している。

 タンク容量は二〇二〇年末までに約百三十七万トンに増やす計画だが、汚染水発生量が一日当たり百五十トン程度で推移すると二〇二二年六月から十月には満水になると見積もった。


■思惑

 東電は小委員会の会合で用いる説明資料に、タンクの保管容量を増やすのは困難との見解を記し、廃炉作業のため今後整備する予定の施設など各種のデータを掲げた。処分方法の決定を促したい事業者の「思惑」が行間からにじむ。

 福島第一原発の敷地面積は約三百五十万平方メートルで、タンクが占める面積は現在、約二十三万平方メートル。東電は今後の廃炉作業の進展に伴い、使用済み核燃料や溶融核燃料(デブリ)の一時保管施設のため約八万一千平方メートルの土地が必要と試算する。

 他にも試料の分析施設、デブリ取り出しに関する資機材保管施設などの具体化を検討するとしている。新たな施設整備に向けては約十八万平方メートルを確保している。だが、東電は雑固体廃棄物や除染土壌の保管を予定しており、「タンクを置く余裕はない」と主張している。大容量タンクの導入や地中、洋上での保管についても実現性は低いとする。


■始まり

 小委員会は会合で、昨年八月の公聴会で出席者から意見が相次いだ「長期保管」を主な議題とする。タンクの耐久性をはじめとした保管の長期化に関する課題を整理する。東電が訴える新たな施設整備が差し迫って必要かどうかを考慮し、一時的なタンク増設の可能性も探るとみられる。

 内閣府原子力災害対策本部廃炉・汚染水対策現地事務所の木野正登参事官は「長期保管はできないとの結論ありきではない。福島第一原発を取り巻く事実を正確に積み上げ、委員に議論を尽くしてもらう」と議論の始まりを強調した。

 一方、東電は「小委員会が出す方向性を踏まえて丁寧に対応する」としている。

 トリチウム水の処分方法を巡り、政府の作業部会はトリチウム水の地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設の五つの選択肢を示している。県漁連などは風評などの影響を懸念し、海洋放出に反対の立場だ。県原子力安全対策課の菅野崇課長は「社会的な影響を踏まえて丁寧に検討を進めてほしい」と求めた。