「福島プロジェクトWG」新設 日本弁理士会 県内企業支援へ

2019/08/15 08:23

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 特許などの知的財産(知財)に精通した全国の弁理士でつくる日本弁理士会は「福島プロジェクトワーキンググループ(WG)」を組織内に新設した。福島県産業の復興支援強化が狙いで、同会が地域を絞り込み、域内の業者をサポートする初の取り組み。自社製品を開発しようとする中小企業が求める技術を調査し、交渉先を仲介する。県内企業の実務担当者に知財の保護・活用に関する実践的な指導を行い、専門性の高い人材を育成する。

 日本弁理士会は県内の知財への関心が高まりつつある現状を受け、さらに一歩踏み込んだ支援に乗り出す。個々の企業に対し、知財の具体的な出願方法や製品化を見据えた活用策をサポートする仕組みを構築する。

 福島プロジェクトWGは清水善広会長を本部長とする地域知財活性化本部内に設けた。組織概要は【図】の通り。指導内容の考案やセミナーの講師、マッチング支援を担う三つのグループに分かれ、県内の弁理士を含め、最終的に二十人程度が携わる見通しだ。知財活用を推進する県や特許庁とも連携する。

 マッチング事業は、担当弁理士が十二月ごろから自社製品の開発などを目指している中小企業を訪ね、製品化に必要となる既存技術や部品などの要望を把握する。国内の特許情報を公開している工業所有権情報・研修館のデータベースから支援企業の求めに見合う技術を探し、交渉先となり得る企業を紹介する。

 特許庁によると、国内で登録されている特許件数は昨年末時点で約二百五万四千件に上る。中小企業が膨大な特許情報から必要とする他社技術を見つけ、単独で交渉するのは容易ではない。

 同会によると、行政による従来のマッチング支援策では知財を既に所有している企業から他社への技術提供の円滑化に軸足を置く場合が多い。新製品の開発や販売を目指す中小企業の課題解決には必ずしも直結しない面があったため、より効果的な支援策を探ってきた。

 弁理士による実践的指導は、企業の知財担当者ら向けに実施する。経営戦略的な観点から知財として保護すべき技術・製品の見極めや出願準備に関する方法などを助言し、専門性の高い人材を育成する。支援の一環として十二月に郡山市、来年一月にはいわき市でセミナーを開く。

 同会は知財の普及が福島県産業復興につながるとみて、二〇一七(平成二十九)年度から県内各地で企業向けセミナーを重ねている。県発明協会内にある知財総合支援窓口の昨年度取扱件数は千九百七十五件で、前年度より百三十三件増えた。

 日本弁理士会の清水会長は「知財の戦略的活用は今や中小企業の成長に欠かせない要件だ。ぜひ支援事業を活用してほしい」と話している。各事業の募集は秋ごろ始める。