【即位宣言のお言葉】思いを深く胸に刻む(10月23日)

2019/10/23 09:21

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 天皇陛下は「即位礼正殿[そくいれいせいでん]の儀[ぎ]」で内外に即位を宣言された。陛下は「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」と述べた。私たちは、その思いを深く胸に刻む必要がある。

 国民に寄り添う思いは、既に福島県などの台風19号の被災地に向けられている。宮内庁は十五日、天皇、皇后両陛下のお見舞いの気持ちを発表した。亡くなった人々を心から哀悼するとともに、安否不明者が早く見つかることや、被災した人たちの生活が早く元に戻ることを心から願われているという。

 陛下は「水に関わる問題」に長年、取り組まれている。学習院大や留学先の英オックスフォード大で水運の歴史を研究し、水に絡む貧困や環境、災害などにも対象は広がる。自らの講演や講義を著書「水運史から世界の水へ」にまとめ、NHK出版が今年四月に発売した。陛下の研究が防災に生かされるように望む。

 皇后さまは外交官だった父親の転勤に伴い、幼少期に米ニューヨークなどで過ごされた。米ハーバード大を卒業し、結婚前まで外務省職員を務めた。

 両陛下は豊かな海外経験を持たれる。経歴を生かし、国際色あふれる皇室外交を繰り広げてほしい。

 陛下は公務、私的な旅行なども含めて福島県を十一回、訪問された。このうち九回は皇后さまと一緒だった。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生後は三回、訪れて、県民に優しいまなざしを向けてきた。即位後の来県を多くの県民が期待している。

 皇室は深刻な天皇の継承者不足に直面している。皇室典範は、皇位継承資格者を父方の血筋に天皇がいる「男系」の男子皇族と定め、女性天皇や、父方に天皇がいない女系天皇を認めていない。皇嗣[こうし]秋篠宮さまが一位、秋篠宮さまの長男悠仁さまが二位、上皇さまの弟の常陸宮さまが三位の順位と資格を有する。

 上皇さまの退位は二〇一七(平成二十九)年六月に成立した特例法に基づく。特例法には付帯決議が盛り込まれ、政府に対して、安定的な皇位継承を確保するための対策を速やかに検討するように求めている。

 政府は有識者会議を設けて議論を進める。年内に設置する方向で検討しているが、来春以降への先送り論も浮上している。話し合いの開始後は可能な範囲で中身を公表し、誰もが納得できる結論を示すべきだ。(川原田秀樹)