担い手育成後押しを 販路、資金確保も課題 産業振興

2019/11/08 09:54

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
漁業の本操業再開に向けた支援を願う久保木さん=いわき市・小名浜港
漁業の本操業再開に向けた支援を願う久保木さん=いわき市・小名浜港

 県内の商工業や農林水産業は東京電力福島第一原発事故に伴う風評や少子高齢化による担い手不足、販路開拓などさまざまな課題を抱える。中小企業経営者や一次産業従事者は県の支援拡充を望み、県議選候補者が掲げる公約を注視する。

 台風19号で広範囲にわたって浸水被害を受けた郡山市。大工などの職人が急ピッチで住宅の復旧作業に当たっている。店舗や住宅などの建築を手掛ける「創建大和」には、被災した建物の補修依頼が相次ぐが、社長の神俣比呂志さん(63)は「地域全体で人手の確保が難しい状況だ」と嘆く。

 同社は大工らの職人仕事を外部に発注しているが、災害対応で職人が足りない。台風19号の上陸前に受注した住宅リフォームの仕事にも対応しなければならず、職人のやりくりに苦心する。台風の前から建築業界は慢性的に人手不足が続いている。今後、住宅再建の動きが本格化する中、現場で働く人をどう確保するかが課題だ。

 一方、業界の受注には陰りも見られる。東京電力福島第一原発事故に伴う災害公営住宅の整備や、避難先での住宅建築は最盛期を過ぎ、今後の受注拡大は期待できない。仕事量が減っていく中で建築業の担い手をどう維持するか。神俣さんは「県は企業の人材確保や育成の支援に力を注ぐべき。若い世代の定着に向け、仕事をつくり、企業の成長を後押しする施策が必要」と訴える。

   ◇  ◇   

 原発事故の影響で福島県沖では試験操業が続く。昨年の福島県沿岸での水揚げ量は震災前の約15%だった。いわき市漁協所属の昭政丸船長久保木克洋さん(50)は「本操業再開に向けて奮闘している漁業者を支援してほしい」と、魚の入った樽を運びながら話した。

 試験操業は対象魚種が大幅に増え、出漁日も増えている。首都圏の大手スーパーで県産水産物の販売店舗が増えるなど明るい兆しも見え始め、本操業を迎える日を心待ちにする。ただ、販路の復活や、韓国による日本産水産物の輸入禁止措置など不安は尽きない。「厳しいモニタリング検査を通った福島の魚は安全で安心。新しい県議には県水産物の魅力のPRや流通拡大に尽くしてほしい」と願う。

   ◇  ◇ 

 深刻化する担い手不足に対応するため、農業は大規模経営化や人工知能(AI)などを使ったスマート農業の導入などが求められている。喜多方市で養豚や水稲を手掛けるファーム塩川屋社長の佐藤孝徳さん(57)は「多額の初期投資や維持費など資金面が壁になり、なかなか踏み出せない」と実情を明かす。

 群馬県などで検出された豚コレラに危機感を強めている。自然災害による被害など、農家は突発的な負担を強いられるケースがあるだけに、新たな取り組みには慎重になる。「大規模化や施設整備などに乗り出した農家が経営を安定させるまでの期間、資金面で支援するような制度が必要」と県政の対応を求めた。