【本をすべての人に】「読む」「聞く」を支える(12月2日)

2019/12/02 09:36

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 本を読みたくても、病気やけが、加齢、災害などの理由で、本に触れられない境遇が誰にでも予想される。住まいや勤め先の近くの図書館に、利用しやすい設備やサービスは用意されているだろうか。

 今年六月に定められた読書バリアフリー法は、障害がある人の読書を支える取り組みを国や県、市町村に促す。国の基本計画づくりに向けた協議会が十一月に始まった。心身の状態や、暮らしている場所と環境、置かれた立場にかかわらず、本や読書に寄せる願いがかなう仕組みを充実する必要がある。

 障害のある人に対するサービスの主な例には、点字ブロックや玄関スロープをはじめとする施設と設備、大活字本などの蔵書、拡大鏡、拡大読書器、対面朗読、郵便や宅配による貸し出しが挙げられる。インターネットを使って資料を探し、貸し借りに活用する仕掛けもある。

 福島市にある県立図書館には今年五月現在で、大活字本、写真や絵を用いたLLブック、点字資料、布の絵本などの合わせて二千三百六十三冊の蔵書がある。拡大読書器や対面朗読室、読みを補助する拡大鏡や老眼鏡を用意するとともに、施設や設備の充実、担当する職員の配置などの工夫にも努めている。c

 いわき市は身体障害者福祉都市の指定に伴い、一九八六(昭和六十一)年四月に障害者サービスを本格的に開始した歴史を持つ。いわき総合図書館には専任職員一人、兼任職員二人を配置する。地区ごとの市立図書館を含めて大きな活字の本は四千六百六十二冊ある。視覚障害者等サービス要領を定め、図書館に来ることが難しい寝たきりや肢体不自由の人にも貸し出している。また、市内の支援学校の児童や生徒が図書館を訪れ、読み聞かせを受けたり、館内の本を利用したりする。

 県内の公共図書館の実態をまとめた二〇一八(平成三十)年度の報告書によると、全ての図書館が幅広いサービスを提供できるわけではなく、内容に差が見られる。十月から十一月にかけての読書週間に当たり、各地の図書館には「おかえり、栞[しおり]の場所で待ってるよ」の標語が入ったポスターやチラシが備えられた。利用者にとって、近寄りがたさを感じるようなバリアー(障壁)が残っていないかを確かめてほしい。先進的な事例が県内各地の図書館に広がるように期待する。

 学校、医療、福祉に関わる人々と連携を深め、読み書きに難しさなどを感じる人々のための研究と実践にも努めるべきだ。(安田信二)